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第40話
「誰かいるのかーー?」
しばらくすると体育館内で声が響き渡った
や、やった!思った通り見回りがいた!
『おーーい!ここ!開けてー!!』
扉をドンドン叩きながら叫んだ
あ、やべっ血がめっちゃついた。まぁいいや今更だ
遠くの方から段々と足音が近付いて来る……
そして、暴れまくった甲斐もあり漸く頑丈な扉が開いたんだ
扉を開けてくれたのは、運動部の顧問をしている先生だった
「君、大丈夫か!?誰にやられた!?」
『俺にもわかりません。体育が終わった後片付けしてたらいつの間にか閉じ込められてて……』
「とにかく保健室に行こう。そこで詳しく話を聞くから」
そう言って先生は着ていたジャージを脱ぎ俺の肩に掛けてくれた
保健室に到着すると、先生は濡れたタオルを俺に渡してくれた
手を拭いた後で次に顔を拭いてみるとタオルに血がいっぱいついた
うわ……目眩がしそう
ある程度拭いた後、先生が紙コップに水を入れてくれた
喉がカラカラな俺は水を一気飲みした
足やら腕やら色んな所に湿布を貼られ次にクラス、名前を聞かれ俺がいつからなのか、何故閉じ込められてたのか聞かれた
「じゃあこの血とアザは誰かにやられたとかではなく倉庫内で暴れた際に?」
『はい、誰かに気付いてもらえるように必死だったんで……』
「今日は週末だから体育館のチェックに向かったら凄い音が聞こえて君が血だらけでいたからびっくりしたよ。….…扉は知らない間に閉まってて鍵が掛かったと?」
『はい』
椅子に座っている俺と向き合って座りメモをとりながら俺の話を聞く先生
警察に事情聴取されるってこんな感じなんだろうか……なんて思ってしまう
「……わかった、1度詳しく扉を調べてみよう。とにかく無事で良かった。今日はもう遅いし家の人に連絡するから君は少しここで待ってなさい」
『あ、俺1人暮らしなんで!連絡とかしなくて大丈夫なんで!』
それでも連絡しに行こうとする先生を必死に止めた
親に連絡なんかされちゃたまったもんじゃない
俺の必死さに折れた先生はため息を吐いた
「車で家まで送るから待ってなさい」
『ありがとうございます。あ、鞄だけ教室に取りに行ってもいいですか?取ったらまたここに戻ります』
「必ず戻るんだぞ?」
『はい』
先生は車の鍵を……俺は鞄を取りに向かった
校舎内は暗くて不気味だった
昼はなんて事ないのに、暗いってだけで何でこんな雰囲気が違うんだろう
さっさと取ってさっさと戻ろ
ってか朔夜先輩に連絡しなくちゃ!やばい完全にドタキャンしちゃったし
教室の電気をつけ自分の机に向かったが鞄がなかった
あれ?鞄がない……
教室内をぐるっと一周して探してみたけどやはりない
マジかー!携帯もゲームも入ってるのに。置きっぱだったから先生に持って行かれたのかな
職員室に向かってみたが中には数名の先生しか残っていなくて、担任を捜したがもう帰っていて居なかった
さっきの運動部の顧問の先生がいて、誰かに電話を掛けていた。話の内容からすると俺の担任に連絡をしているっぽい
俺の姿を見て運動部の顧問は手招きしてきた
近付いてみると急に受話器を渡された
電話の向こうで慌てふためきまくってる担任
そりゃそうだ。自分の生徒が体育館倉庫に閉じ込められてたんだから
取り敢えず無事を伝え、鞄の事を先生に聞いてみたけど先生が教室の最終チェックをした時に鞄なんて教室にはなかったらしい。じゃあ何故ないんだ
再び受話器を先生に返し、明日担任も同行し業者を呼び体育館倉庫の扉を調べる事で電話は終了した
「鞄は明日校内を探してみるから今日はもう帰りなさい」
そう言って車の鍵を持つ先生
や、俺は鞄がなかったら非常に困る。今直ぐに探すべきだ!……とは言えず小さく頷くだけだった
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