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第42話
先輩に説明する前に俺は先に学校に電話した
鞄が見つかったって早めに先生に言っておかなくちゃね
学校に連絡した後、先輩に説明……な、なんで睨んでるの?
「どれだけ心配したと思ってるの?」
『ごめんなさい』
なんかテレビでよく聞くおかんの台詞だ
『えっとですね……質問をする前に取り敢えず先に俺の話を全部聞いて欲しい』
「わかった」
俺は先輩と向き合うように座り、先生に話した事と同じように1つひとつゆっくり説明した
途中何度か先輩は何かを言いかけたけど、ぐっと堪えて最後まで俺の話をちゃんと聞いてくれたんだ
「何それ。鍵が勝手に閉まる訳ないじゃない」
『そうだけど……でもわからないし』
「最後に倉庫の鍵を使った奴って誰だろうね」
『使用記録とかはしてないからわからないんだって。けどもし本当に勝手に鍵が掛かったとなると大ごとだから明日業者呼んで扉を調べるって言ってた』
「ふーん」
もっと騒ぐかと思いきや先輩は冷静だった
なんと言うかこうさっきと全く違う様子だと逆にこっちが焦ってしまう
『心配かけてごめんなさい。後、今日約束してたのに行けなくなっちゃってごめん』
「憂は悪くないよ、けど凄く心配した。図書室には知らない子がいたし」
『そう言えば……』
図書室委員の事すっかり忘れてた!ってかそれどころじゃなかったし
「憂と同じ図書室委員の子?なんかそんな事言ってたけど。憂が勝手に帰ったから代わりだって言ってたよ」
『そうなんだ』
あーなんか悪い事しちゃったな……でも俺もまさか閉じ込められるなんて思ってなかったし!俺は悪くない!だけど次会ったら一言礼を言わなくちゃ
気が抜けたのか、物凄くお腹が空いて来た
そうだ!先輩もいるし今から何処かにご飯……
いや、こんな痣だらけで外食はちょっと……うーん
その時、ポストに入っていた宅配チラシを思い出した
「どうしたの?」
『えーっと……どっかこの辺に……』
ガサガサと床の上に散らばった紙類の中を探す
『あった!』
「何が?」
『先輩、今からピザでもどう?あ、ピザが嫌だったら他の……えーっと……他はー……ちょっと待って』
すると先輩が笑い出した
「あははっ憂は食べる事が本当に好きなんだね。閉じ込められて結構危ない目に遭ったばかりなのに危機感無さすぎ……可愛いなー、そういう所ホント好きだなー」
『えっ?』
「いいよ。そうだね、せっかく2人居るんだし。1人でピザだと多いから頼む事ないもんね。たまには宅配もいいね」
そう言って先輩は俺が持っていたチラシを取った
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