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第43話
週末の夜なのにデリバリーは混んでなかったみたいで早く来てくれた
玄関で配達員にお金を渡そうとした時、急に後ろから手が伸びて来て先に渡されてしまった
『あ!』
「丁度頂きます。ありがとうございましたー」
そして玄関のドアが閉まる。そしてピザを持ったまま立ち尽くす俺
「何してるの?ほら、早くテーブルの上に置きなよ」
『や、今日は俺が出すって言ったよね??』
「そうだっけ?まぁいいじゃない、冷めるから早く」
促され渋々ピザの箱をテーブルに置く
ああ、めっちゃいい匂いがする。腹減った……
食欲には勝てず、色々考えるのは後にして先輩と一緒にピザを食った
久しぶりだったから激旨。今って1枚のピザに4種類乗ってるやつが幾つかあるから頼むのが楽だし色々食べれるから少人数だと得した気分になる気がする
ってか俺金出してなさ過ぎだべ
「美味しかったね!」
『……ご馳走さまでした』
そしてまた後片付けまでしてくれる
「怪我人は大人しく座ってなさい」
『あい』
何を言っても絶対に俺を立たせようとしない
先輩はおかんだ
あ、そうだ!
先輩が片付けをしてくれてる間にこっそりとお金を先輩の鞄の中に忍ばせた
背中を向けているこの隙に……内ポケットにでも入れ……
あれ?何か着替えのような服が……昨日のやつかな?や、昨日のじゃないような……
「あっ!人の鞄勝手に覗くなんて悪い子!」
『ひゃあ!!ごめんなさい!』
めちゃくちゃびっくりしてしまった
「嘘うそ。別にいいけど何してるの?」
『え?あの、えっと……』
焦った俺は内ポケットではなくそのまま放り込むような感じでお金を入れてしまった
「まぁいいや。もう少ししたら先にお風呂行ってきなよ」
また自分の家のように言う
『先にって……やっぱり今日も泊まる感じ?』
「泊まるつもりはなかったけどさ、憂が行方不明になってたからいざって時に対応出来るように一旦帰って着替えだけ準備してそれから憂の部屋の前で待ってたんだよねー、俺憂の鞄も持ってたしいつか帰って来ると信じてさー」
いや、いざって時って何なんだ
取り敢えず物凄く心配してくれてたのはよく分かる
こんな俺の為に嬉しいじゃないか
『先輩は優し過ぎだよ。ただの後輩の為にここまでしてくれる人なんて何処にも居ないと思う』
「俺がただの後輩って思ってると思う?」
どういう事?
その時、俺は先輩が言っていた事を思い出した
付き合いは広く浅くより狭く深く
そうか……先輩は俺の事を後輩じゃなくて、本当に友達だと思って接してくれてるんだなって今になってやっとわかったんだ
だから敬語使ったら怒るんだな
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