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第44話
湿布臭い匂いをシャワーで洗い流した
改めて自分の体を見て痣の数を数えてみた
うん、暴れ過ぎな
『いててて』
風呂から上がると、先輩が部屋の中を物色していた
お構いなしで人んちの引き出しを開けまくるなんて流石先輩だな。なんか変に慣れて来たよ
『何探してんの?』
「えー湿布どこにあるのかなーって」
泥棒みたいな真似をしていたのはどうやら俺の為だったらしい
『湿布なんかないと思うけど……あ、だいぶ前にバイト先で足捻った時にパートのおばちゃんに貰った湿布がどっかあったような……どこに置いたっけ?』
「薬箱とか作ってないの?」
『薬箱?ないない!』
「今度うちのあげるよ」
『いいの?ありがとう!あ、先輩も風呂行って来なよ』
「んーだけど湿布……」
『いいって!痣なんか放っとけば治るし』
「うーん……わかった。お風呂が済んだらまた探してみるよ」
『え?や、だからいいって』
聞こえてなかったのか、先輩は何故か1人で納得して風呂場に向かって行った
そして俺は慌てておばちゃんから貰った湿布を探したんだ
一応男なので漁られたくない場所ぐらいあるんですよ
……
暫くして色気抜群な濡れ髪の先輩が風呂場から出てきた
相変わらずお美しい
「あれ?湿布あったの?」
めちゃくちゃ探したし
『うん、押し入れの中にあった』
「良かった良かった。じゃあ貼ろうか」
貼らないと怒られそうだ
『腕とか足とか見える部分は自分でやるから後ろの肩部分を頼もうかな』
「わかった!……ぶはっ」
俺が服を脱ぐと、何故か先輩が慌て出した
『ん?』
「ちょっ大胆!待って、今目に焼き付け……じゃなくてえー、あっ湿布、湿布だね!うん」
な、なんなんだ一体……
取り敢えず先輩に背中を向けた
「……痛々しいね」
『そうなの?その部分見えなくてさーそんなに酷い?』
「うん」
きっとタックルした時だな……
『ひゃっ!』
先輩が湿布を貼ってくれたんだけど、めちゃくちゃ冷たくて変な声が出てしまった
「……耐えろ。耐えるんだ」
後ろで先輩が何かぼそぼそと言ってる
うん、俺は冷たさに耐えたぞ
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