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第48話

帰りの車の中で俺は超上機嫌だった 何故なら前から欲しかったゲームが期間限定超特価で買えたからだ。むふふふ 「良かったね」 『うん!』 「今日の夜はどうしようか?何か食べたい物ある?」 『んーせっかくだからドライブスルーでも寄ってもらってから送ってもらおうかな』 「え?ドライブスルー?送る?もう帰るの?」 『そうしようかなーって』 「一緒に食べようよ」 先輩は晩飯を一緒にと言う……俺は帰ってファストフード片手にゲームがしたい だけど色々してもらってるしここは先輩の言う通りにしなきゃ悪いよな 明日もバイト休みだし明日はゲーム三昧にしよう 『わかった。でもご馳走になってばっかだとマジで悪いから今回は俺も出す』 「別にいいのに」 『ダメ!』 「わかったよ。じゃあドライブスルーはなしね」 『うん。晩飯は先輩の行きたい所で!』 「はーい」 『…………』 そして連れて来られた場所はセキュリティー万全の夜景が観れるお洒落な高層マンション えっと、店はどこなのかな?? ん?マンションの中に飲食店が入ってるのかな?? だとしたらかなり高い店なのでは……そんな店、普通未成年は入れないだろ 小洒落たエレベーターに乗り先輩に導かれるまま…… 『えーっと、ここは?』 「ん?俺んち」 部屋の鍵がカードキーだと!? 「どーぞ」 玄関の扉を開け中に入ると腰を抜かしそうになった なんだこの広い玄関は!?なんだこのいい匂いは!? 『お邪魔します……』 訳がわからないまま部屋の奥まで通された 何だこの長い廊下は!?部屋の数は…… 『あれ?先輩って1人暮らしって言ってなかったっけ?家族の人と住んでるの?』 「ん?1人暮らしだけど」 『部屋の数多くねー?』 「ああ、物置とか殆ど使ってない部屋ばかりだよ」 マジか…… ちょっと待て、先輩って本当は高校生じゃないとか ってか店は? そういえば車ん中に今日買った買物袋置いたままだし、何か取りに寄っただけなのかな? 「まあ適当に座っててよ」 『う、うん』 何人掛けかわからない長いソファーの1番端っこにちょこんと座らせてもらった 足元のカーペットも凄く柔らかくてモフモフしてるし超気持ちいい……何だあのでかいテレビは……ってか色々やばい部屋広過ぎ 『先輩、貴方は一体何者ですか?』 「え?」 しまった!つい心の声が出てしまった いいや、この際聞いてしまえっ! 『や、俺んちとあまりにも違い過ぎて……何故先輩はこんなにもお金持ちなの?』 直球過ぎる自分にびびった けど今はこればっかり気になって仕方がない 「ああ、母方の祖父がちょっと有名な資産家でね。亡くなった時遺言書があって莫大な遺産の8割程度は何故か俺に……だったらしいんだよね」 『遺産……資産家……』 そんな単語テレビの中でしか聞いたことない 「それで親族同士かなり揉めてねー、親含め親族全員が俺に寄って集ってさ……ストレスのせいで体調悪くしちゃって何もかもが嫌になって誰にも言わないで1人で日本に来たって感じかな。俗に言う家出ってやつだよ」 マジか…… 『でも学校は?未成年だしこのマンションだって自分だけじゃ契約出来ないよな?どうやったの?』 「そんなのはお金握らせれば何とでもなるよ。それに現金一括で買えば誰も何も言わなかったし」 高層マンションを現金一括にこにこ払いですか……貴方は本当に俺と同じ高校生なのですか? でも珍しく先輩がよく喋ってる。これもまたレア 「お金に汚い人間ばかり見て来たから寄って来る人間は信用出来なくなっちゃって。はぁ、実際お金さえあれば何でも出来るって祖父がよく言ってたけど本当なんだなって思ったよ」 『そうなんだ……若いのに苦労してきたんだ』 「ふっあははっ!」 俺がそうポツリと言うと何故か先輩がめっちゃ笑い出した 「いやー流石だね!うんうん」 『何が?』 「気にしないで」 『んん??』 隣に腰を下ろした先輩は上機嫌で俺の頭を撫でた 「ちなみに残りの遺産は養護施設に寄付する事!だったんだって。凄いよね」 『へー……先輩のおじいちゃんは外国人?』 「そうだよ。父がハーフで母が日本人だからクオーター?ってやつ?」 『そうなんだ』 呑気に聞いてるけど俺の頭はただ色々理解するのにまだ時間が掛かっているだけだった .

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