53 / 184

第53話

さっきの尾澤会長の行動にはちょっとびっくりしてしまった 顔に何か付いてたのかな……? 撫でられた頬を触りながら廊下を歩いてると、教室の前に朔夜先輩が…… や、だからあんた目立ってるって 「いた!何処行ってたの!?」 『ちょっと職員室。ジャージ返しに行ってただけだよ』 「ふーん。それにしては遅かったね」 『先生と少し話してたから……何か用?』 「そんな冷たい言い方しないでよー。昨日会えてないしちょっと顔が見たかったんだよ」 『なんだそれ』 俺と朔夜先輩がそう会話していると、周りの生徒がザワザワした 俺の口調もだけど、以前より距離が縮まったような話し方だからかな 周りの目なんか気にするな気にするな…… 「今からだと中庭に行く時間は余りなさそうだね。今日はバイト?」 『うん』 「……そっか」 めちゃくちゃ残念そうにする先輩 『明日は休みだから大丈夫だよ』 「……本当?」 『うん』 俺がそう言うと今度は嬉しそうな表情になった わかりやすいな 『そう言えば尾澤会長とはどっか行かないの?』 「何で?」 『え?仲いいんでしょ?』 「んー仲はいいけど一緒に何処か行くとかそんなんじゃないかなぁ」 『えっそうなの?家も?』 「うん。俺尾澤んち知らないし」 そう言えば尾澤会長も朔夜先輩んち知らないって言ってたような…… え、じゃあ俺って相当仲良しなのか 「憂は特別」 『どういう事?』 「さあね」 『なんだそれ』 「ふふ、それさっきも言ったね」 『ええっ?』 「本当可愛いなー。あ、そろそろ戻らないとね。顔見れて良かった」 先輩はそう言い、俺の頭を撫でた後自分の教室へ向かって行った 可愛いって何だよ…… うっ……色んな所からの視線が痛い こんな時いつも走って来るのは颯太なのだがあいつは今日サボりだ あ、そういえば…… 自分の席に座ろうとした時、ある事を思い出した 『なぁ』 教室の隅で1人で本を読んでいたもう1人の図書委員に声を掛けた 「……何?」 『この間の金曜日俺の代わりに図書当番してくれたんだよな?悪い、ありがとう。実はあの日俺体育館倉庫に閉じ込められててそれで……』 「……ああ、あれって君だったんだ。なんだ、てっきり帰ったんだと思ってた」 『あん時はマジ焦ったから!まさか閉じ込められるなんて思ってなかった』 「ふーん」 『……』 再び視線を本に向けた。相変わらず素っ気ない奴だな…… 『とにかく、ありがとう』 礼を言い、今度こそ自分の席に戻った 「お前、朔夜先輩の何?」 『えっ?』 座ると同時に突然クラスの中でも少しヤンチャそうな奴に話しかけられた。名前は……わからん 「どうやって媚び売ったの?あの人超金持ちなんだろ?」 『……何で?』 「俺のダチが見たらしいんだよ。スゲーマンションに住んでんだろ?外見もやべーしマジ自慢じゃん!今度あの先輩俺にも紹介してくれよ。仲良くしよーぜ」 『今度自分で話しかけてみれば?』 「は?」 平然を装ってるけど内心心臓がバクバクしてる だけど、かなり腹が立ったんだ .

ともだちにシェアしよう!