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第64話
もはや中庭が俺達専用になっている気が……
だけど誰もいない方が落ち着けるし静かでいい
ちょっと緊張しちゃうけど
「今日いじめっ子君遅れて来たでしょ?」
『うん、何で知ってんの?』
「実は彼、朝から尾澤に捕まってたんだよ。なんかみっちり話をしてたみたい」
『そうなんだ』
遅刻して来た訳じゃなかったのか
朝から昼休みまで話ってどんだけ……
「尾澤はくどいからね、ネチネチ言い出したら止まらないんだ。普段はいい奴なんだけど」
『あはは、でも何か会長っぽいや』
「でしょ?」
『うん』
いつも通りベンチに座り2人で尾澤会長の話で盛り上がった
俺は尾澤会長の事よく知らないけど、朔夜先輩が色々教えてくれたんだ
授業中先生の誤字を指摘したり真面目に授業を聞いてるかと思いきやたまに教科書に隠れて寝てたり……
でも先生達も尾澤会長に頭が上がらない事が多いからこの学校の裏ボスって言われてるらしい
裏ボス……それも似合い過ぎてウケる
俺がクスクス笑っていると先輩にじーっと見つめられた
『な、何?』
「いやー尾澤話がやけに楽しそうだから」
『楽しいよ。この間初めてまともに喋ったけど会長って近寄り難いように見えて話すと凄く優しいし何か落ち着いてるし、俺ももっと会長と仲良くなりたいな』
「ふーん……なんか妬けちゃうなー」
『何言ってんだよ。先輩とは……』
何だか急に恥ずかしくなって来た
「先輩とは?」
『えーっと、あっ!先輩とは寝泊まりする程仲良しじゃんか?あはは』
「まだ俺しか泊まってないけどね。何なら今日泊まりに来る?」
『えっ!?』
「俺も憂に泊まりに来て欲しいなー」
話がとんでもない方向へ行ってしまった
どうしよう……だけど今断るのは不自然過ぎるよな
や、泊まりに行きたい気持ちはあるんだけど
「どう?無理?」
『んー……わかった。じゃあ一度帰って用意しなきゃ』
「やったね。超楽しみ」
一瞬先輩の表情がしょんぼりしたからついオッケーしてしまった
恥ずかしいけど、あの広い部屋に泊まれるのは正直凄く楽しみだ。気分は高級ホテルのスイートルームかな……そんなとこ1度も泊まった事ないけど
「じゃあそろそろ戻ろうかな。授業終わったら教室まで迎えに行くよ」
『いいよいいよ。取り敢えず先に帰って着替えたり用意したりしたいし』
「そう?」
『うん、だから先輩も1度家に帰っててよ。用意出来たらまた連絡するし』
「わかった。じゃあ俺も帰って着替えだけしようかな」
『うん!あ、何処行くか考えてくれた?』
「んー……」
『ま、まぁ合流するまでに考えててよ』
「わかった」
そして教室に戻ると、案の定颯太が来た
「お前ばっかずるい」
『知らねーよ』
「ちくしょー俺も先輩みたいな超格好いい彼氏作ってやる!」
『彼女じゃなくて彼氏かよ!』
「この際言うけど実は俺、初恋は男なんだ」
『えっ!男!?』
「しー!声がでかい!」
ここで颯太の突然のカミングアウト
や、まさかとは思ったけどマジなのか
「だからお前は気にせずこれからも朔夜先輩との事を俺に相談したまえ。喜んで聞こうぞ」
『あーはいはい。ありがとう、じゃ俺は戻るわ』
「素っ気ない!!」
苦笑いしつつ俺は自分の席に戻った
そして何となくもう1人の図書委員の方を見た
良かった、大丈夫かなと思ってたけど何ともないみたいだ
俺を殴った奴の姿はまた見えなくなっていた
朝は会長といたみたいだし嫌気がさして帰ったのかな
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