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第68話
あーしまった、冷蔵庫から出しておくの忘れてた
憂が手に持っている缶を見て思い出した
海外の食べ物とか色々置いてある店でたまたま試供品として貰ったお酒……
分厚い肉を柔らかくする為に使おうと思って置いてたけどまさか憂が飲んでしまうとは
他にも色々飲み物があったのに何故ピンポイントでそれを手にしちゃうのか……
「大丈夫?」
『ん?なんでぇ?』
「それお酒だよ?」
『お酒??んー?読めねー』
「ごめんね、置いてた俺が悪いよね。ほら、それじゃなくてこれ飲んで」
『ありがとー』
普通の炭酸飲料を渡した。そして憂に手渡された缶はもう中身が入っていなかった
遅かったか……
自分の分の飲み物も取りに行き、ソファーに座っている憂の隣に自分も腰を下ろした
「映画観れそう?」
『ん、大丈夫』
「じゃあ何がいいかなー?」
リモコンを手に取り画面に映画の一覧表を出した
「憂はどんなのが好き?」
『えー……アニメとかS Fとか……あ!!!』
「な、何?」
急に大きい声を出すからびっくりしてしまった
『あれ!!あれがいい!』
「ん?どれ?」
『だからあれだって!あーもうちょっと貸して!』
「はいどうぞ」
リモコンを憂に渡した
そして俺の目がついていけないスピードでリモコンを操作する憂
流石ゲームばかりしてるだけあるな
『先輩……これ観たいな』
さっきとは違い突然甘えた声になった
可愛い
「これはアニメかな?」
『うん、めっちゃ観たかったけど一緒に観に行ってくれる友達がいなくて……いい?』
「いいよ」
『やた!先輩超好き!』
「……」
持っている缶を握り潰しそうになった
落ち着け落ち着け……
「何かお菓子でも持ってくるよ」
『俺チョコレート食べたい』
「わかった」
キッチンに行って色々なお菓子を適当にお皿に盛り付けた。真ん中にチョコレートを置いてと
「……憂?」
お皿を持ってリビングに戻ると憂は真剣な顔をして映画に集中していた
そんなに酔ってはいないかな?良かった
『先輩……画面がコロコロ変わるから目が回る』
「えっ」
『うーん、気持ち悪……』
「大丈夫?」
『んー』
アルコール飲んだ後で薬飲んでも大丈夫なのか?
いや、少し時間を空けないと駄目か
観ていた映画を1度停止させ先に憂を休憩させる事にした
『あ!停めたなー!』
「やっぱり酔っ払っちゃってるか」
『誰が!?』
「憂だよ」
『酔ってない!俺酒なんか飲んだ事ねーし!』
「や、さっきまで飲んでたのお酒だって」
『違うし!俺まだ未成年だし!』
「知ってるよ」
『チョコレート食べよっと』
「……うん」
『美味すぎ!先輩も食べ……あっ!』
「!!」
ソファーに手をつこうとしたがズルっとそのまま滑らせ俺の胸に憂が寄りかかって来た
「……」
『あー先輩いい匂い』
まるで猫のように更に擦り寄って来た
やばい……
だけど無意識に俺の腕は憂の体をぎゅっと抱きしめていた
このままじゃマズイ
『先輩……いつもありがとう』
「憂が悪いんだからね」
『え?……っ』
憂が顔を上げた時、俺はそのまま憂の唇にキスをした
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