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第69話

『んんっ』 「憂……」 『先輩っ息出来な……っ』 唇を重ねたままソファーの上に押し倒した 「……甘いね」 『ち、チョコ食ったから……』 さっきよりも顔が赤い 視線を逸らす憂を見て鼓動が速くなるのを感じた 『先輩っ俺……初めてなんだけど』 「え?」 『だからっ……キスすんの初めてなんだけど』 「ファーストキス?」 『……うん』 恥ずかしそうに小さく返事をする姿を見た瞬間何とも言えない衝動に駆られた ヤバい可愛過ぎるだろ ダメだ、落ち着け 俺の中で理性と欲望が激しく衝突していた 憂は酔っているんだ、抑えるんだ だけど俺は憂を抱き上げ、そのまま寝室へ連れて行きベッドに寝かせた 『あっ先輩……っ』 ヤバい 『んんっ』 好き 何度もキスをし、少し開いた口に舌を絡ませた 『んっ』 ダメだやめろ 『先輩っ何か変……っ』 大好き 『くすぐったい……あっ』 唇から首筋にキスを落とし服を脱がそうとした瞬間ふと我に返った 「……ごめん。頭冷やしてくる」 憂の頭を優しく撫で、俺は寝室を出た 酔ってる憂にあんな事をしてしまうなんて一体何を考えているんだ俺は 洗面所へ行き水で顔を洗った後鏡に映る自分を見つめた 「……」 後悔はしていない あんなチャンス二度とないと思った だけど…… 憂の服を捲り上げた時本気で止まらなくなりそうだった あれ以上してしまうと憂の意思もないまま最後までしてしまう それだけは絶対に駄目だ 「はぁ……どうしよう」 好き過ぎて頭が変になりそう 好きだから大切にしたい だけど触れたい 嫌われたくない ずっと一緒に居たい…… さっきの憂は俺を拒む素振りすら見せなかった もしかしたら憂も俺と同じ気持ちなのかなって一瞬思ってしまった でもそれが本心なのかわからない…… モヤモヤする気持ちのまま寝室へ戻ると、憂は布団に潜って気持ちよさそうに寝ていた 「全く……」 本当にこの子は…… 憂を起こさないように自分もゆっくり布団の中へ入った 『んん……』 「君は俺の事を本気にさせすぎだよ」 止める事が出来た自分を褒めてやりたい だけど出来るならあのまま最後まで抱きたかった 眠っている憂を抱き寄せ軽くキスした 『んっ』 目が覚めた時、憂がさっきの出来事を覚えていたら…… その時は思い切って自分の気持ちを伝えようかな 想像しただけで凄く緊張する 「おやすみ、憂」 今日眠れるかな…… .

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