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第73話

『先輩、色々ありがとう。マジ楽しかった!』 「何だか寂しいなぁ……バイト頑張ってね」 『うん!じゃあ気をつけて!』 「はーい」 店まで先輩に送ってもらっちゃった 大丈夫って言ったんだけど先輩がどうしてもって…… やーでもおかげで徒歩の疲労感無しで来れたよ 今日の業務も裏方で雑用係 分けて置いている商品別に値引シールをペタペタ貼っていったり山積みになった段ボールを畳んだり…… 俺って表じゃなくてこうやって裏で淡々と仕事してる方が向いてるかも 途中パートのおばちゃんにあらヤダ若い若いって言われたけど意味がわからなくてスルーしちゃった 『お疲れ様でしたー』 バイトが終わり現実世界へと戻って来た 部屋の電気を点けた瞬間溜息が出てしまう なんかこの感じ前にも体験したな 持っていた荷物をそこら辺に置き、帰りに買ったコンビニ弁当をテーブルに出して晩飯タイムをした 先輩んちにいた余韻が今もまだ残ってて、何だかふわふわした気分 1泊2日の高級ホテルに旅行しに行ってたような気分だ 旅行なんか修学旅行ぐらいでしか行った事ないけど あまり考えないようにしてたけど1人になるとどうしても思い出してしまう 先輩とキスする夢…… 一緒にいた時は大丈夫だったけど今になって半端なく恥ずかしくなって来た。普通逆だろ ふーっ!顔が熱い熱い あんな夢なんか忘れちまえ! 最近自分でしてなかったからきっと俺は欲求不満なんだ それに…… 俺が先輩に好意を持ってるって知られる前に諦めないといけない 俺は先輩にとって仲が良いただの後輩なんだ だけど、どうすればこの気持ちを消す事が出来るのだろうか 忘れるには新しい恋をしろって何かの漫画で読んだ事あるけど、先輩を超える人なんて絶対にいないよ 先輩の事を想えば想うほど好きになっていくから本当にどうしようもない 『会いたいな……』 次の日、俺は学校で颯太に相談してみた 「いや、普通に無理だろ」 『ええっ』 「諦める?無理!絶対に無理!好きになっちまったもんは仕方ないって。諦める事を諦めるんだな」 『でも仲良くしてる後輩に実は好意を持たれてましたーって知った瞬間普通に気持ち悪がられるって。それにきっと先輩は普通に女の子が好きだろうし……』 「お前、仲良い人から好かれてるってわかった時朔夜先輩は気持ち悪がると思うのか?」 『……思わない。先輩、優しいからきっと相手を傷つけないように言うと思う』 「憂、お前は絶対に大丈夫!今まで朔夜先輩に告ってフラれてる奴らは先輩と喋った事もないような全く知らない奴らばかりだ!もっと自分に自信を持て!」 『だけど……』 「好きでいる分には別にいいじゃん!!逆に何で諦めなきゃダメなの? もしバレてフラれたらそん時は俺がラーメン奢ってやるから!ま、俺は絶対両思いだと確信してるけどな!」 『ラーメンかよ。いやいや両思いは絶対にない』 「本当にネガティブな奴だな!」 『この性格自分でも嫌になるよ』 「この贅沢野郎め!俺は本当に憂が羨ましい」 『あはは……』 颯太に相談して良かった 重苦しい気持ちが少し軽くなったような気がした 理解ある親友がいてくれて俺は幸せ者だ .

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