先輩んちに泊まったって言ったら颯太の顔は目ん玉が飛び出そうなぐらいビックリしていた そして…… 「お、おまっお前……」 『何？』 「その首の痣は……！！」 『ん？あーこれ？なかなか消えないんだよなー！体の痣は大分消えて来たのに変だよな』 「……」 『あとここ！ここも濃くねー？』 「マーキングだ……」 『まー？え？何？？』 「いや、何でもない」 『何だよ変な奴だな』 「先輩も色々大変だなーって思っただけ！」 『何が！？』 「はぁ……」 溜息を吐いた後颯太は自分の席へ戻って行った 一体何に呆れたんだろう？よくわからねーや 今日は何故かクラスの連中からのチラチラ視線がいつもに増して凄かった。一体何故…… 「ねえねえ尾澤聞いてよ」 教室を出て行こうとする尾澤を呼び止めた 「少しだけなら……私も色々と忙しいのですよ」 「またあのいじめっ子に話？ちょっとくど過ぎない？」 「彼から興味深い話をあと少しで聞き出せそうなんですよ。憂君を閉じ込めた犯人を知ってそうなので」 「……誰？」 「ですからそれを聞き出す為に頑張ってるんですよ」 「一緒に行くよ」 「駄目です」 「何で！？」 「貴方はその時の感情で動く事が多いからです」 「大丈夫だよー。絶対殴ったりしないって」 「犯人が誰かわかった瞬間に走って行ってしまいそうなので。それにいじめっ子君が口をなかなか割らなかったら激しくイラつきますよね？」 「………………そんな事ないし」 「それで、朔夜の話とは？」 「あー……うん、聞いてくれる？」 「ええ」 「実はさー、一昨日の夜憂がうちに泊まりに来てくれたんだけど……」 「ああ、だから昨日欠席だったんですね」 「まあね。それでつい襲っちゃいそうになって」 俺はあの時の事を尾澤に話した すると何故か教室の隅まで連れて行かれ、尾澤は静かに激怒した 「それで貴方は未成年の子に飲酒をさせ酔わせてから襲ったと？」 「だから違うって！お酒に関しては事故だから！何その言い方！！しかも未遂だって！」 「全く貴方という人は……それで憂君は？」 「幸いにも覚えてないみたいで。あーもー本当どうしよう」 「どうしようとは？」 「１度触れてしまうともっと触れたくなるんだ。憂を困らせたくないのに一体どうしたもんか」 「意外ですね、もっと手の早い方だと思っていたのですが」 「尾澤ってたまに毒吐くよね」 「そうですか？」 「うん。はぁ、憂が俺の気持ちを知ればきっと悩みまくるよね」 「まぁ憂君は軽めのHSP気質がありますからね」 「何それ？」 「病気とかそういうのではなく、生まれつき感受性が強くて繊細な人のことですよ。言葉を発する前に相手の感情を敏感に感じ取ってしまって言いたい事も言えず自分を押し殺してしまうんです。 良く言えば優しい、悪く言えば神経質……そんな所ですかね」 「あー確かにそうかも。よく気を使う子だとは思ったけど……あんまり憂と話した事ないくせによくわかるね」 「何となくですよ。仮に今告白して……憂君は断りたくても断れず無理して貴方とのお付き合いを承諾するかも知れませんね」 「うわーそれ何かヤだな。え、俺って脈なし？」 「さぁ、それは誰にもわかりません」 冷たい尾澤…… だけど尾澤の言う事はもっともだ 憂は今も俺に気を遣ってる部分が多いと思う 嫌われてるとかはなさそうだけど…… うーーん 今すぐにでも会いに行きたい .