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第75話
図書委員の当番、金曜日がやって来た
あれからいつも通り昼休み先輩と会ったりしてたけど何となくお互いギクシャクしてるような感じだったんだ
いや、俺が気まずいからそういう風に感じただけなのかも
これも全てあんな破廉恥な夢を見たせいだ
いつも通り授業が終わり俺は図書室へ……
そうか、閉じ込められ事件からもう1週間経つのか
この1週間で色々あり過ぎな
受付カウンターに座り久しぶりのゲーム
先輩はなんか放課後尾澤会長と話す事があるって言ってたから今日は多分来ないかな
「いいですか?冷静に、かつ慎重にですよ?」
「わかってるよ」
尾澤がとうとう憂を閉じ込めた犯人を突き止めたらしい
放課後そいつを生徒会室に来るように呼び出してある
みたい
「よく聞き出せたよね。何したの?」
「私はただ普通に問いただしただけです」
「数日かけて?」
「まあ脅してないと言えば嘘になりますかね」
「尾澤も結局俺と一緒じゃんか」
「違いますよ。私はそんな怒鳴りつけるとかはしませんので」
「俺が本気で怒る所見た事ないくせに」
「何となくですよ」
「ふーん、まぁ別にいいけど。で、誰だったの?」
「じきに来ますよ」
「勿体ぶっちゃって……本当にいい性格してるよね」
生徒会室のカーテンを閉め外からの光を遮断した
「どうやらいじめっ子君は弱みを握られていたみたいですね。憂君に絡み暴力を振るったのも言われてやっただけだと」
「弱み?」
「いじめっ子君は母子家庭でお母様は小学校の教師をしている方のようでして……
彼が窃盗など暴力等を行っている写真をお母様の勤め先に送りつけると脅されたようです。教育者の身でありながら母子家庭というだけで世間からの風当たりが強いのに、そこで息子まで問題があるとされれば彼のお母様は職を失うかも知れません」
「母親関係ないよね?」
「教育者は世間体を1番に気にしますからね。普段はヤンチャな彼でもお母様を大事に思ってるんでしょうね」
「じゃあ馬鹿な事なんかやらなきゃいいのに」
「そんな年頃なんですよ」
「自分もあんまり変わらないくせに。尾澤は年齢詐称してそうだよね」
「そう言う貴方もですよ」
「俺はそんな時期とっくに過ぎてるし。向こうにいた時は中学生でも普通に親の拳銃隠し持ってウロウロしてる奴もいたし」
「それは恐いですね……」
「それよりまだ来ないね。逃げたんじゃない?」
「それはないと思いますが……委員長から各クラスに配る資料を預かってるので放課後取りに来るようにと呼び出してあります。図書委員をしている子ですので」
「図書?何年?」
「1年生で憂君と同じクラスの……」
「尾澤のバカ!!何でもっと早く言わないんだよ!!」
「ええっ!?」
「憂は今日図書室の当番なんだ!」
もし憂が1人になるタイミングを狙っていたら?
閉じ込められた時は体育館の片付けで1人になっていた時……
それを見ていた人物……
同じクラスの図書委員だったら憂が1人になる日は今日だとわかっている
生徒会室に来る前に先に図書室を覗いて確認するはずだ
俺が図書室にいないとわかれば……
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