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第76話

『…………!!』 図書室のドアが勢い良く開いた いい調子でゲームをしていた俺は慌ててゲーム機を下に隠した 今やり始めたばっかなのに! あ、でも先輩かな? 「……詰めて座ってもらえる?」 『あれ?何で……』 図書室に来たのは俺と同じもう1人の図書委員だった 「今日は2人作業って聞いてなかった?……ああ、この間の委員会の時確か休んでたっけ」 『そうなんだ、知らなかった』 先輩と一緒にサボった日だ 委員会なんかあったなんて初耳だし 取り敢えず俺はゲーム機を鞄の中にしまい彼も座れるように端に詰めて座り直した 『えーっと……』 「林崎、いい加減人の名前覚えなよ。同じクラスなら自己紹介とかしなくても大体把握してると思うんだけど」 『ごめん……人の名前覚えるの苦手で。余り人と関わらないしまだクラスの半分も名前覚えれてないんだ』 「ふーん」 『で、何をすればいいの?』 「そこにあるファイル取って」 『ファイル?……あ、これか。どれ?』 「全部」 棚にあった数冊のファイルを取り手渡した 『何のファイル?』 「過去に購入した本の記録を見て今年購入する本と被りがないかチェックするんだ」 『へぇ〜……』 「へぇーじゃなくて早くしなよ。ほら」 『あ、うん』 プリント数枚とファイルを渡された えーっと…… うっ字が細かくて目が回る ってか誰も来ないのに本なんか購入する意味あんのかな 「…………」 『…………』 沈黙過ぎて何か気まずい 何か話題はないか頭の中で色々考えていると向こうが先に口を開いた 「朔夜先輩だっけ?あの人と付き合ってるの?」 『えっ!?』 「違うの?」 いきなり過ぎる事を急に聞かれて声がひっくり返ってしまった 『付き合ってない付き合ってない!』 「そーなの?教室にも来るしよく一緒にいるから」 『仲良くしてもらってるだけだから!第一男同士だし付き合うとか……』 「ふーん……」 男同士……自分で言ってかなり違和感を感じた 朔夜先輩の事は好きだ。だけど先輩とどうなりたいとかそう言うのは考えた事がなかった 俺は先輩と付き合いたいのか?男同士で付き合うって一体何をするんだ? いやいや今はそんな事考えてる場合じゃなくて そういう事を普通に聞いてくるって事は林崎君も颯太同様男に興味があるのかな?意外と多いんだな…… 「痣、大分良くなってるよね」 『え?あ、ああやっぱこれ目立ってたよな。顔面だし余計に』 「あと腕とか足とか色んな場所にも怪我してたよね。あれは?」 よく知ってるな…… もしかして颯太と話してるの聞こえてたのかな 『それはもう殆ど消えたよ』 「つまらないな」 『え?』 咄嗟に目線の先を彼に向けた すると林崎君は俺をじーっと見ていたんだ 「憂君ってさ、肌も白いし痣とかできやすいよね?例えば……こうやってさ」 『いっ!』 急に腕を強くつねられた 『えっ何?ちょっ痛いって!!痛い!!』 「……ほら、これもう痣になるよ」 『やめろって!』 腕を振り払い少し距離を取ろうとしたが背中が壁に当たってしまった 「……異常性癖って知ってる?」 『何それ……』 「異常性癖にも色々種類があるみたいなんだけどね。俺は相手の痣や傷を見るのが凄く好きなんだ」 『……』 「何で自分が図書委員なんだと思わなかったか?俺が君を任命したからだよ。都合よく休んでてくれてありがとう」 『どういう事?』 「入学してすぐの頃足首に湿布してただろ?その下にどんな痣があるのか気になって仕方なかった。 顔もまぁ悪くないし気も弱そうだし肌も白いしその時からずっと君に目をつけていたんだ…… せっかく君が1人になる日を作ったのに俺自身が忙しくなっちゃって気付いた時にはあの先輩だ。本当に腹が立ったよ」 『さっきから何言って……』 「体育館倉庫に閉じ込めた時も予想以上だった。初めはただ好奇心でどんな反応をするのか見たかっただけなのに…… 実は当番が終わった後体育館の裏に隠れて様子を見ていたんだ。流石に誰も気付かなかったらヤバいと思ったからね。そして助けられて出てきた君は血だらけで体中も痣だらけになってて……俺は物凄く興奮したんだ」 急に色んな事を言われて頭が全くついて行けてなかった 彼は一体何の話をしているんだ? 体育館倉庫に閉じ込めた時って……ちょっと待って 「だけど君は服でそれを隠してしまうし。だからあいつに君の顔を殴らせたんだよ。顔だと完璧には隠せないからね。 俺は人を殴ったりした事がないからきっと力不足でそんな綺麗な痣をつけれないだろうからさ。 いつ使おうか迷ってたあいつの弱味もここで初めて役に立ったって事さ」 『じゃああいつが俺に絡んで殴ったのって……』 「俺の命令だよ。だけどあっさり白状しやがって…… 俺が何でこうベラベラ喋ってると思う?俺にはもう時間がないんだ。 どうやら君を閉じ込めた犯人は俺だともう生徒会長にバレてしまっているみたいなんだ まぁ別にいいけど、元々こんな学校辞めるつもりだったし……」 隙を見つけて逃げないとヤバいと思った だけど、狭い受付カウンターの端に追い詰められて身動きが取れない状態だったんだ 「今日はあの先輩が居なくて嬉しいよ」 .

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