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第77話
『……っ』
いきなり頬を触られた
「でも治りかけの痣もいいよね。赤、青、そして紫になってその次に黄色になるって不思議だよね。色の変化を見るのも好きだな」
『変態……』
「きっと君には理解出来ないだろうね。異常性癖は理解者が少ないんだ……ほら見て、さっきつねった所がもう赤くなってる」
そう言われて視線をさっきからジンジンと痛む自分の腕に向けた
『っ!!』
俺の腕を掴んで来たと思ったらそのまま噛みつかれた
『痛いってば!!いたたたたたッッ!!』
噛みちぎられるんじゃないか、そう思うぐらいの激痛だった
「うっ!」
俺は咄嗟に片手で林崎を突き飛ばし、怯んだ隙に受付カウンターから出ようとした
だけど、足をかけられ俺はそのまま思いっきり転けてしまったんだ
『………くっ』
「突き飛ばすなんてやるじゃん。でも今ので膝にまた痣が出来た」
『やめろ!』
林崎はうつ伏せに倒れた俺に跨がって来た
「歯型もいいね」
『ちょっ何するんだ!!』
そして自分が着けていたベルトを外し俺の両手を頭の上で拘束したんだ
「もう今日で最後だから楽しませてもらうよ。いいよね?」
『ふざけんな!』
「あ、いいの?君は今抵抗出来ない体制なんだよ?」
『くそっ外せよ!』
「ダメ」
『…………ッッ』
服を捲り上げられ背中に爪を立てられた
「声も出さないなんて我慢強いんだね。
……凄い、もうミミズ腫れしてる。あ、血も滲んで来た。良かったー爪伸ばしてて」
痛過ぎて涙が出てきそうになった
だけど、絶対に泣きたくない
こいつなんかに負けたくなかったんだ
「やっぱり、思った通りの綺麗な肌だ。爪痕が凄く綺麗に見える」
『触るな!いっ……』
「あの先輩、君の事めっちゃ好きだよね」
『知らねーよ!』
「あの先輩が今の君を見たらどう思うんだろ?
……きっと凄く怒るよな。怒らせてみる?」
『……!』
ポケットの中に入れていた携帯のマナーモードが鳴っているのに気付いた
何となく先輩なような気がした
こんなタイミングで……どうしよう
「出なよ。……あ、出れないか。代わりに出ようか?」
『やめろ!!』
ポケットから携帯を取り出され、画面を見せられた
「……先輩だろ?」
『……』
「出る?」
『どのみち出ないと先輩はここに来る』
「そうかもね。君を閉じ込めている時もここに捜しに来たし」
こんな姿を見られたくない……
だけど、このままだとどうする事も出来ない
どうしよう、どうしよう、どうしよう……っ
「切れちゃうよ。はい」
『あっ!』
通話ボタンを押されてしまった
そしてそのままハンズフリーにして俺の顔の横に携帯を置いてきた
〈…………憂?出てくれて良かった〉
『……っ』
先輩の声を聞いた瞬間、気が緩んで我慢していた涙が溢れ出てきてしまった
〈図書室にいる?今そっちに向かってるから〉
『だめ!!先輩っ……来ないで!』
声を上げ携帯に向かって叫んだ
「はい終了ー」
通話終了ボタンを押され携帯を遠くへ投げられた
「って事は俺も急いで逃げないと」
『痛い!!な、何して……』
「写真だけ撮らせてよ。今日の記念に」
また背中に爪を立てられ、さっきよりも強い痛みに襲われた
『もうやめてくれって……早く消えてくれよ』
「……うん!いい写真が撮れた」
そう言って林崎は俺に跨がるのをやめ、俺の両手の拘束を解いてからこう言ったんだ
「言うのも自由、隠すのも自由……背中だから大丈夫だろ?」
『…………』
その時、図書室のドアが勢い良く開いた
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