84 / 184

第84話

次にシャワーを借りる事にした 熱もまだ少しあるっぽいし傷に滲みるんじゃないかと先輩は超心配してたけど…… 『ゾンビだ……』 鏡に写る姿を見て愕然とした 顔色は微妙に良くないし多少薄くはなってきたが口元にはまだ少し痣が残ってるし、 体にもあちこち痣があるし治りかけの痣もあって所々腐った色してるし、腕に歯形はあるし背中には派手な引っ掻き傷も…… なんだこれ ここまで全身ズタボロ過ぎるとヤバい 『いででででで!!』 シャワーを頭から浴びると案の定背中に激痛が走った 大急ぎで頭と全身を洗いすぐに風呂場から出た これぞまさに烏の行水 「大丈夫?なんか叫んで……」 『ひゃっ!ちょっまだ体拭いてる途中!』 「ご、ごめん」 浴室を覗きに来た先輩が慌てて出て行った 見られてないよな?? や、男同士なんだし別に見られてもいいじゃんか だけど先輩に見られちゃうと何か恥ずかしいような気もする……いかんいかん熱が上がる 髪も適当に拭き首にタオルをかけてからリビングに行った 『ありがとう、大分サッパリした』 「裸……」 『ん?ズボン履いてるけど』 「首にタオルなんか掛けて隠しちゃって、動く度に見えそうで見えないギリギリを狙うなんてズルいよね」 『え???』 「んーん、何でもない。ついでに薬塗るからこっちにおいで」 そう手招きされたから、俺は先輩の所まで行き背中を向けて座った   「……痛くない?」 『大丈夫、我慢する』 「もう少しだからね」 『うん……あっ』 少しピリッとしたせいで声が出てしまった 「はぁ……」 後ろで先輩の溜息が聞こえた 『……』 やっぱり俺って迷惑掛け過ぎだよな…… 先輩の溜息を聞いてかなり凹んだ 『先輩、俺そろそろ帰るね』 シャワーを浴びて出てきた先輩に言った 「何で?今日バイト?」 『や、体もこんなんだし今日はもう休もうと思ってて……』 「うん。バイトは休んだ方がいいね。で、何で帰るの?」 何でと言われると回答に困ってしまう 「まだ熱も少しあるんだし今日もここに居なよ」 『でも……俺がいたら先輩ゆっくり出来ないと思う。飯も作ってもらってばっかだし他にも色々……』 「……帰りたい?」 『いや、そういう訳じゃないんだけど……』 出来るならこのまま先輩と一緒に居たい だけど迷惑ばっか掛けたくない 自分でもどうすればいいのかわからない ここではっきりと迷惑掛けたくないから帰るって言えばいいのに、何か言われるとそのまま言えなくなっちゃって……ウジウジしてる自分に腹が立つ 「あー……うん、そうだよね。1人になりたいって時もあるよね。ごめんね気が付かなくて……俺の言う事ばっか押し付けちゃってるね」 『違っ……出来るなら先輩と一緒に居たいって思ってるよ』 「本当に?」 『……うん。だけど俺先輩にしてもらってばっかで俺は何もしてあげられてないし迷惑掛けてばっかだし』 「何度も言うけど俺は迷惑だなんて思ってないよ」 『じゃあさ、何か俺に出来る事ある?』 居させてもらえるならせめて何かしたい 助けてくれたお礼だって…… 「怪我人は大人しくしてなさい」 『動けるし大丈夫!熱ももう平気!あ、買い物行って来ようか?謹慎中って確か外出禁止なんだよな?』 「外出禁止ではないよ。必要のない外出はしないで自宅で行動を慎めって事じゃないかな。買い物は生活に必要だから後で一緒に行こうよ」 『……うん。じゃあ他には?』 「他?」 『うん!俺に出来る事があるなら何でも……』 「じゃあキス……」 『え?』 「キスしたい」 先輩は真剣な表情でそう俺に言ったんだ .

ともだちにシェアしよう!