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第86話
再びひと眠りしたらさっきより熱っぽい感じはなくなっていた。寝過ぎてちょっとダルい程度
だけど、俺はまだベッドから出れないままでいた
『……』
先輩とキスしてしまった
夢じゃなくて俺は本当に先輩とキスしてしまった
『あーもう……』
生々しい感触が今もはっきりと唇に残ってて、めちゃくちゃ恥ずかしい
思い出せば思い出す程またドキドキしてきてヤバい
「ただいまー、起きてる?」
先輩が買い物から帰って来たみたいだ
『……んー』
布団に潜り込んだまま一応返事をする
「調子はどう?落ち着いた?」
『んー』
「熱は?」
『んー』
「どれ?」
『んん!!』
布団の中に先輩の手が入って来て俺の額に触れた
「熱は下がったみたいだね。いい加減に顔出しなよ」
『あ!』
俺の盾がめくり上げられてしまった
「おはよう。って言ってももう昼過ぎだけど」
『うん……買い物一緒に行けなくてごめん』
「いいよ。また熱が上がっちゃったのは俺のせいなんだし」
『……』
恥ずかし過ぎて先輩の顔がちゃんと見れない
「ほら、出ておいで」
『……うん』
ズルズルと引き摺るようにベッドから出て先輩に続いてリビングへ
「今日土曜日だったから混んでたよ。憂は家に居て逆に良かったかも」
『そうなんだ』
「あ、そうそう憂が好きそうだったから色々買ってきたんだけど」
『え、本当?』
「うん」
先輩は袋をガサガサと漁りテーブルの上に色んな物を並べ出した
チョコやらグミやらその他もろもろお菓子やらおまけが付いたジュースやら……
あ、さけるチーズだ!俺めっちゃ好きなやつ
そして先輩が最後に出して来たやつは……
『あ!!あっちの森!』
チョコの中に小さなフィギュアが入ったチョコエッグ
「絶対好きでしょ?」
『これはアツい!!え、何?こんなの売ってんの!?』
「今日から発売なんだって」
『マジかー!』
マニアとしてはこれは是非全種類集めたい
どうしよう、熱も下がったし今から買いに行こっかな
「しかも箱買い」
『えっ!!』
ドンっとテーブルの上にチョコエッグ10個入りの箱が4つも出てきた
「お昼食べてから一緒に開けよう」
『せ、先輩……』
神様……
『あ!ダブった!』
「じゃあ俺のと交換ね」
『うん!』
昼飯後、2箱ずつ先輩と分けてお楽しみの中身開封
今まで何度かチョコエッグシリーズ買った事あるけどこんなアホみたいな量は人生初、贅沢過ぎる
大人買いを通り越して貴族買いだ
中身だけ出すもんだから別容器には大量のチョコレート
つまみながら中身開封してるけど全然減らないや
『何これ?……やった!シークレットゲット!』
「良かったね」
『超嬉しい!えー?他に出てない奴は……』
「憂、ついてる」
『え?』
顔を上げた瞬間唇を舐められた
『…………』
「……ん?何?」
『また寝込みそう……』
「何で!?」
俺の頭の中でダイナマイトが大爆発した
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