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第133話

「おっすー!」 生徒会室のドアが勢い良く開いた 「あっ!」 その音のせいでびっくりし字が思い切りズレてしまった 「ん?何か書いてんのか?」 「……今日はお呼びしていませんが何か用でも?」 「んな冷てぇー事言うなよ」 「忙しいので」 「ふーん」 中に足を踏み入れ、ソファーに寝転がった 「ちょっと俺には物足りねぇソファーだなぁ。足が出ちまう」 「ここは休憩所ではありません」 「固い事言うなって」 真剣に何かを書いている尾澤会長をじーっと見つめる勝哉 「何してんだ?」 「夏休み中に行う川掃除のボランティア活動について纏めている所です」 「ボランティアだぁ〜?タダ働きご苦労なこった」 「貴方もたまには地域の方達のお手伝いでもしたらどうですか。悪い気はしませんよ?」 「金が発生するんだったら手伝ってやってもいいぜ」 「それではボランティアにはならないです」 「はははっ」 勝哉の方を一度も見る事はなくもくもくと手元を動かす 「他の生徒会の奴らは何してんだ?えー副会長やら書記やら確かそんなのがいる筈だろ?」 「ええ、いますよ。ですが彼等は役員会の時ぐらいしかここを訪れませんので」 「お前は毎日のようにそんな事ばっかやってんだろ?そいつらにもやらせりゃいーじゃねぇか」 「これは私個人で勝手にやってるだけですので」 「ふーん、あっそ」 「…………」 暫く沈黙が続き、ひと段落ついた所で尾澤がふぅっと一息ついた 「あれ?まだ居たんですか?」 「さっきからずっと居るっての!」 「没頭してたので気付きませんでした。てっきり出て行ってるものだと」 「終わるの待ってやってたんだよ」 「そうですか……で、何か私に用でも?」 「まぁまぁ座れって」 「まるで貴方の部屋かのような言い方ですね」 間にテーブルを挟み勝哉と向き合うように座った 「さっきから貴方あなたって、俺は貴方なんかじゃねー!勝哉だ!」 「では勝哉さん用件は?」 「え?何もねーけど」 「…………」 笑って誤魔化す勝哉に睨みをきかす尾澤 「用がないなら出て行って下さい。仕事の邪魔です」 「おいおい邪魔は言い過ぎだろー!っつーか疲れた顔してんぞ」 「それは気のせいです」 「会長さんは生徒会の仕事ってやらを一旦忘れた方がいいって。働き過ぎだ!」 「そんな事はありません。それをわざわざ言いに来たんですか?」 「忘れろ忘れろ!頑張り過ぎて倒れちゃー元も子もないぞ」 「いいえ忘れません」 「頑固だなー」 「こういう性格なのですよ」 「面倒臭ぇーなぁ」 「どうとでも」   「ったく、しゃーねぇな」 「……!?」 身を乗り出し尾澤の頭を掴んだ 「何を…………っ」 「……これでちょっとは忘れる事が出来るだろ」 尾澤の唇を無理矢理奪った勝哉はニヤリと笑った 「ま、忘れらんねーようだったらまたしに来るわ!リラックスリラックス!」 勝哉はゲラゲラと笑いながら呆気に取られる尾澤の肩をバシッと叩いた後、再び生徒会室のドアを勢いよく開け出て行った .

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