143 / 184

第153話

勝哉さんに連れて来られた場所…… 新しい感じの家ではないがそこまで古くもない普通の一軒家 「ここは……」 「俺んち」 「なかなか趣のあるご自宅ですね」 「何言ってんのかさっぱりわかんねーけどとにかく上がれよ」 「手土産を……」 「んなもんいらねぇ!っつーか誰もいねーよ!!」 「そうなのですか?……ではすいません、お邪魔します」 「そこの階段上がって突き当たりが俺の部屋だから勝手に入っててくれ。あと間違えても他の部屋は開けんじゃねーぞ」 「何かあるのですか?」 「姉貴の部屋とババアの寝室だ」 「姉貴……お姉さんがいたのですね。ババアとは?」 「ババアはババアだよ!」 「もしかしてお母さんの事ですか?いけませんよ、そんな呼び方をしては」 「うるせぇな!さっさと行け!」 勝哉さんに催促され2階の部屋に上がらせてもらう事になった しかし今日はまた一段と声が大きいな…… 階段を上がって言われた通り突き当たりの部屋へ入らせてもらうと、中は色んな色で少しごちゃごちゃしていた 散らかっている訳ではないが細々した物が多いと言うか何というか…… パッと目に入った本棚にも色んな色の本が置かれてあった。これは漫画本かな 後は綺麗な女性や派手な女性達が載っているDVDが数本一緒に本棚に並べられていた 「何突っ立ってんだ?」 直ぐに勝哉さんも2階へやって来た 「いえっちょっと賑やかな部屋なので色々気になって」 「だろうな。お前の部屋何もなかったもんな」 「これは何でしょう?」 「ん?あーゲーセンで取ったやつだっけ?」 「じゃあこれは?」 「知らねぇ、姉貴が勝手に飾りやがったもんじゃねーか?」 「これは2つでペアになる……何でしょうか?」 「知らねーの!?去年めっちゃ流行った人形だっての!」 「そうなんですか?へぇ……この小さな飾り物は?」 見慣れない物の多さに興味が止まらない尾澤 「お前本当に知らねーのな」 「中学の頃の流行り物なら多少わかるのですが……弟が亡くなってからは勉学ばかりしていましたからね」 「そうか」 「あそこの棚も見ていいですか?」 「はいはい」 まじまじと部屋の中を観察している尾澤を見つめた 「たまに可愛いとこあるな」 「え?」 「何でもねーよ!」 尾澤は勝哉の部屋にある物をまじまじと観察し、満足したのか漸く腰を下ろした 「勝哉さんの部屋は頼もしい物ばかりですね。つい見入ってしまってすいませんでした」 「別にいーんじゃね?欲しいもんがあったんなら持って帰ってもいいぞ」 「本当ですか?では……」 再び立ち上がり、棚の1番下の端にひっそりと置いてあった可愛らしい猫のキーホルダーを手に取った 「これがいいです」 「そんなもんでいいのか?」 「ええ、これだったら鞄にも付けれますしいつも一緒にいられるでしょ?」 「…………」 「勝哉さん?」 こいつ可愛いかよ…… 「ん」 「はい?」 勝哉に手招きされ、そっと近付いて行った 「来ましたけど何か……」 するとぎゅっと抱き締められた .

ともだちにシェアしよう!