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第162話

見られた ついに見られてしまった 『朔夜のアホ!バカ!だから学校でしたくないんだっ!』 帰り道俺はひたすら朔夜にキレていた 「別にいーじゃんか。それにあいつ俺達が付き合ってる事知ってるんだし」 『そう言う問題じゃない!俺あんなとこ人に見られるの本当に苦手なんだよ』 「練習する?」 『バカ!!』 アパートに到着し、早速荷造り開始 朔夜が俺んちまでついてきた理由……荷物持ちをする為だ そして大きい鞄に着替えやら教科書やら色々詰め込んでいく 「因みにテスト範囲は分かってるの?」 『テスト範囲?』 「……後で学校に電話して聞くよ」 『ねぇ、本当に家庭教師するの?』 「勿論!」 『家庭教師って言うより俺からすれば合宿だよね』 「そうなるのかな」 『俺本当に物覚え悪いけど大丈夫?』 「大丈夫!しっかりと体に叩き込むから!」 ……こわっ 『ってかテスト終わるまで朔夜んちにお泊まりって普通に考えてヤバいよな!長期過ぎるしたまには自分んちの様子見に帰るぐらいはいいよね?』 「うん」 『でもなんか嬉しいな。学校は行かなくちゃいけないけどそれ以外の時間はずっと一緒に居られるんだもんなっ』 「……」 『ん?って何してんの?』 「やる準備?」 『ばっばか!!そんな事ばっか考えるんだったらもう泊まりに行かない!』 「冗談じゃんか」 『全く……』 荷造りが完了し、水道、ガス、電気全てをチェックした 危ない危ない!ゲームを持って行くのを忘れる所だった 「ゲームなんかする暇あるかな〜?」 『えっそんなにがっつり勉強するの?』 「それは憂の出来次第かな」 『むぅ』 そして朔夜んちに到着 今日から俺は数日間このスイートルームで生活をするんだ……これは絶対帰りたくなくなるぞ いかんいかん 「荷物この辺置いておくよ?」 『うん、ありがとう。でも本当にずっと泊まらせてもらってもいいのかな?』 「俺が言い出したんだから気にしない。自分んちだと思って自由に過ごしてよ」 『そう?……あ、あとこれ少ないけど居させてもらってる間の食費とか。少ないけど受け取ってよ』 そう言い、お金の入った封筒を朔夜に渡そうとした 「……流石に気を遣わせちゃうか」 『うん。頼むよ』   「わかった、これは受け取るよ。その代わり……」 朔夜はそう言い、自分の財布の中から何かを取り出した 「これを受け取ってよ」 『ん?』 朔夜から渡された物、それはカードキーだった 『えっ待ってこれ……』 「持ってるだけでマンションも入れるし、これからここに自由に出入りする為にも必要でしょ。そのままずっと持っててくれていいから」 『いやいやいやいや!これは流石に受け取れないよ!!』 「持ってて」 『でも……』 「持ってて」 『借りるだけ!借りるだけなら……テスト終わったらちゃんと返すからね!』 「ダメ持ってて」 『……』 きっと何を言っても聞いてくれない だけど、鍵を貰って内心喜んでいる俺がいた 信用してくれてるって事だから…… 『ありがとう』 「うん」 絶対無くさないようにしなくちゃ こうして俺のテスト勉強生活はスタートを迎えた もう朔夜先生って響きだけで色んな意味で嫌な予感しかしないよね…… .

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