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第164話
「まさか憂の出来があそこまで悪いなんて……」
「大丈夫、憂君はやれば出来る子ですきっと!」
頭を抱える朔夜を励ました
「憂君もですが朔夜は大丈夫なのですか?」
「俺は大丈夫だよ」
「ならいいのですが。そう言えば進路希望用紙をちゃんと記入して提出したそうじゃないですか。偉いです」
「ん、書きたくなかったけど憂と尾澤がうるさいからさ」
「因みに第一志望は何処に?」
「尾澤と一緒」
「私と?どうして……」
「この間尾澤の用紙盗み見したから取り敢えず同じとこ書いといた」
「……」
「俺が留年すると憂が責任感じるとか言うからさー、取り敢えず受けるだけ受けてみるよ」
「そうですか」
「ん、ところで尾澤の方は大丈夫なの?」
「大丈夫とは?」
「あいつ絶対頭悪いから夏休み補習じゃないの?」
「勝哉さんですか?……そうですね、多分補習になるかと……」
「いいの?」
「私も夏休み中は生徒会行事で学校に行く事が多々ありますので」
「さてはあいつの補習期間中に合わせて学校に行くつもりだね?」
「さぁどうでしょう」
クスッと笑い朔夜から離れた
さてさて、私もテスト勉強に集中しなくては……
まさか朔夜の第一志望が私と一緒だとは
嬉しいと思う反面思わぬライバル出現だ。ああ見えて朔夜は賢いから……負けないようにしなくては
全ての授業が終わり帰宅時間になった
「じゃあね尾澤!」
朔夜が珍しく急いで教室を出て行った
理由は何となく分かるような気がするが……彼が行動するのは憂君の事のみ
自分も帰宅準備をし教室から出た
すると、まるで私を待っていたかのようなタイミングで後ろから声を掛けられた
「尾澤会長」
「はい?……貴方は……」
「ちょっといい?」
「分かりました」
私に声を掛けたのは勝哉さんが捜していた2人の片割れ
あれから何もして来なかったからもう飽きてくれたのだとばかり思っていた
「今日は生徒会室に行かないの?」
「特に用事はありませんから」
「大切な話だから2人で話したいんだけど」
「ここでは出来ない話なのですか?」
「出来れば場所を移したいんだけどいいよね?」
「この間の話でしたらお断りします」
そう言い再び歩き出そうとしたら腕を掴まれた
「じゃあこの間キスした時何で拒否らなかったの?」
小さな声で言われた
「やめて下さい。他の方もまだ沢山いらっしゃる……わかりました、場所を移しましょう」
腕を振り払い人気のない場所へ向かった
「憂ーっ!迎えにきたよ!」
『げっ!』
「げっ!って何さ!?」
『いやっ別に……もぅ、下駄箱で待ち合わせなって言ったじゃんか』
「だって居なかったんだしー」
『そんな時は大人しく待ってようよ』
1年の教室なのに毎度毎度ズカズカと乗り込んで来る朔夜
「あ!朔夜先輩っお疲れ様っす!」
「やっほー颯太君」
「おー銀髪」
「……」
「てめぇあからさまに無視すんじゃねーよ」
「さあ帰って今日も頑張ろう!」
『うん、あっ昨日朔夜が教えてくれたとこ授業でやったよ!ほらっ』
自分なりに纏めたノートを朔夜に見せた
「……ちゃんとやってくれてるんだね」
『うん』
「偉い偉い」
朔夜に頭を撫でられた
「イチャつくのは帰ってからにしろよ!っつーかチビ助マジで頑張ってたから今日は甘やかせてやれよ!」
『ちょっと勝哉さん!』
「言われなくても。お前はさっさと尾澤んとこ行けば?早く生徒会室でイチャイチャすればいいじゃん」
「ああ?んだとコラ」
「なぁ憂、どうして勝哉さんと会長?」
颯太はまだ何も知らない……
『ん、また後でメールで教えてやるよ。今言えば俺達2人とも勝哉さんに首を絞められるから』
「お、おう」
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