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第181話

学校終わって次はバイト! パートのおばちゃんにテストの結果報告をしたら良く頑張ったねって言ってくれてお菓子とジュースを奢って貰っちゃった やー嬉しい嬉しい 機嫌良く店内で値引きシールを貼っていると、女性に声を掛けられた 「これは値引きにならないの?」 『え?あーちょっと待って下さい』 日付と商品を確認してから女性が持って来た商品にシールを貼った そしたらそれを見ていた主婦達が次々と俺の所で列を作り出したんだ…… ま、待て待て待て 「早くして!主人が帰ってきちゃう」 『ご、ごめんなさい』 何故か怒られてしまった や、あんたの都合なんか知らねーよ 『すいません、これは値引きにならないです』 「ええっ?……今日だけ値引きしてよ!」 『あはは……すいません』 「ケチねぇ」 ケチはてめぇーだ!なんて内心思いながら営業スマイル やばい早く貼って裏に逃げよう! そう思い、元々貼る予定だった商品にダダダダっと素早く貼り慌てて裏へ逃げた 主婦って怖えぇ…… いつも値引きシールはパートのおばちゃんがやってくれてたから知らなかったけど、何気に大変なんだな 俺がその話をすると、あんたは舐められてると言われた 主婦に勝てるのは主婦と言う事か 気を取り直して前回同様飲料水の品出しをする事にした 今日はアルコール類だな お酒の事は全くわからないから違いとか聞かれたら超困るんだけど、基本的に品出しってとにかく同じ種類の物を同じ場所に出すだけだから簡単だ。物によっちゃ頭使うけどね 「あっ」 ん? 声が聞こえて顔を上げてみると、この間俺に声を掛けてきた自称常連のお客さんが俺のすぐ側にいた 「こんばんは」 『こ、こんばんは』 「今日はお酒の品出し?」 『あ、はい』 「大変だね」 『いえ……』 「近く通ったんだけどさっきのおばさん凄かったね、大丈夫だった?何かクレーム言われてたんじゃない?」 『えっ?さっき……あーいえっ全然大丈夫ですよ』 営業スマイル営業スマイル 「たまにいるよねああ言う人。あっそうそう、この間の期間限定のジュース美味しかったよ」 『あ、そうなんですか?そりゃ良かったですね』 手を動かしながら会話した 「実は俺も前に品出しのバイトしててさ」 『そうなんですか?』 「うん、米が1番しんどいよね」 『あーわかります。台車も1人じゃ絶対押せませんしね』 「そうそう」 彼はそう言いながら隣の列にあった炭酸飲料を手に取った あれ?買うのお酒じゃないんだ 「今酒取ると思ったでしょー?」 『え!?い、いやそんな事思ってませんって!』 顔に出ていたのかそんな事を言われて慌てて否定した 「俺、まだ高3だから、まぁ私服来てたら普通に酒買えるけどね」 高3……朔夜と同じだ 「じゃあ頑張って」 『あっはい。ありがとうございます』 彼はにっこりと笑い、レジへ向かって行った ……また話し掛けられちゃった バイトが終わりいつものコンビニへ寄った 今日も疲れたし久しぶりにデザートでも買って帰ろうかな なんて思いながらカゴを持って漫画本を物色 えー……新刊はどれだ?最近買ってなかったから何巻まで読んだかわかんねーぞ 1冊手に取り裏面に書いてあるあらすじを読み漁っていたら、俺の隣に誰かが来た 「こんな所で何をしてるのかな?」 『……?』 朔夜! 『びびったーってあれ?何でいるの?』 「憂の顔が見たかったから?」 『帰ったら連絡しようと思ってたのに』 「バイト先に行っても終わってる風だったしアパートに行っても電気点いてなかったし多分コンビニかなーって」 『ストーカーかよ!』 「ん?」 『まぁ朔夜だから別にいいけど……』 「またそんな可愛い事言って」 漫画本を元の場所へ戻し適当な弁当をカゴに入れてレジへ向かった 「憂はいつもコンビニ弁当なの?」 アパートに到着して部屋の中に入った時朔夜がそう聞いて来た 『基本バイトある日はコンビニ弁当かな』 「ダメだよそんな栄養偏った物ばかり食べてちゃ。たまにはちゃんとした食事しなきゃ」 『たまに朔夜んちでいいもん食わせてもらってるから大丈夫だよ』 「もぅ……」 一瞬朔夜の表情が緩んだ 『……で、その荷物って事は泊まりに来たって感じ?』 「そう!」 『俺んち狭いのに』 「だって会いたかったし」 『学校で会ってるじゃん』 「俺はいつも憂を見ていたいんだよ」 『やめて下さい』 コンビニ弁当をテーブルの上に出し俺だけ晩飯タイム 「今日はどうだった?忙しかった?」 『今日?あー変なおばさんに値引きシール貼れって絡まれたよ』 「大変だったね」 『まぁな、あとこの間も話し掛けられたんだけど、また同じ人に今日も話し掛けられたよ』 「……どんな人?」 『ん、別に普通だけど。朔夜とタメなんだって』 「どうして憂がその人と俺が同じ年って知ってるの?」 『高3だって言ってたから』 「男?」 『うん、そうだよ』 「…………」 『朔夜?』 急に朔夜が黙り込んだ 「その人はよく店に来るの?」 『さぁ、わかんないけどなんか前から俺の事知ってる風みたいな事言ってたけど……』 「ふーん……」 『?』 また黙り込んでしまった よくわからないまま取り敢えず弁当を完食し、片付けをしてから再び朔夜の隣に座った .

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