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第183話
そして遂に待ちに待った夏休み!
グータラ三昧ゲーム三昧!……とはいかず
「学校がないっていいよね。ゆっくり過ごせるよ」
『そうだな』
初日から朔夜んちに滞在
今回もまた連泊予定
光熱費浮くからありがたいんだけど何だかなー
「バイトも気にしないでここから行けばいいからねっ」
『う、うん。でもなんか悪いなぁ』
「何言ってんの?コンビニ弁当ばっか駄目だよ!?」
『あーうん、ありがとう』
何を言っても無駄だろうから取り敢えずお礼を言う
『じゃあそろそろバイト行って来るな』
「ん、気を付けてね。本当に送らなくて大丈夫?外暑いよ?」
『いいって!』
「わかったよ、晩御飯作って待ってる」
『遅くなるから先食べててよ』
「一緒に食べたいから待ってる」
『……わかった』
「なんか新婚さんみたいな会話だね」
『バカ!』
確かにそれは俺も思ったけど!
「いってらっしゃい」
『ん、行って来ますんんんんッッ!!』
頭を押さえつけられ濃密なキスをされた
「お疲れさん、やっと夏休み入ったな!」
『あ、こんばんは』
バイト中、いつもの人に話し掛けられた
あれから何度か出会してその度に色々話をするからこの人と話すのに慣れて来ていた
「えーっと……ごめん、何て呼んだらいい?」
『あ、すいません。俺いつもネームプレート付け忘れちゃってて……憂です』
「憂君か。俺は秀幸、親が明智光秀超好きでさ」
『秀幸……先輩?様?』
明智光秀って誰だ
何か聞いた事あるな
「普通に秀幸でいいよ」
『いえいえいえ!じゃあ秀幸先輩で!』
「よろしく」
俺はこの日初めてこの常連さんと自己紹介し合ったんだ
「新発売のアイス探してるんだけどある?」
『アイスですか?えーっと……』
そして彼はいつも新商品の場所を俺に尋ねる
案内をしながら世間話をするんだ
『いつも似たような時間に来てますよね?1人暮らしですか?』
「あー俺は寮生活だから。知ってるかな?私立の高校なんだけど」
高校の名前を言われたけどさっぱりわからなかった
「憂君はどこ?」
『俺は男子校で……』
俺の高校を教えると秀幸先輩は驚いていた
「あそこって確かヤンキーが多いって聞いた事あるんだけど実際どうなの?」
『確かに結構多いと思います。でも真面目な人も多いですよ』
「憂君は真面目だよね」
『はは、まぁどっちかと言うとそうかも知れませんね。あっアイスありましたよ』
新商品のアイスを手渡した
「ありがとう」
『いえっ……ん?』
何故か頭を撫でられた
「じゃあ頑張ってね」
『あっはい。ありがとうございます』
何故今俺の頭を撫でた?
まぁいっか
特に気にせず仕事に戻り、さっきまでしていた事の続きをした
「おかえりーっ」
『ぐえっ』
朔夜んちの玄関を開けた瞬間飛びかかって来た
「嬉しい!憂が仕事から俺んちに帰って来た!」
『ちょっ大袈裟』
そう言えばバイトある日はいつも自分んちに帰ってたっけな
『ん、ただいま』
「ただいま……今ただいまって言った!嬉しい!」
『ぐっ苦し……ってか俺今汗ヤバイからっ』
「俺は憂の全てを愛してるから全然大丈夫」
『よく言えるなそんな恥ずかしい事……ってかマジ離れて暑い!』
「お風呂にする?ご飯にする?それとも俺?これ言ってみたかったんだよね」
『ご飯!』
「やっぱ憂はそう言うよね……わかってたけど何か悲しい」
『朔夜もまだ食ってないんだろ?早く食おうよ』
「わかったよ」
一瞬いじけたけど直ぐに朔夜の機嫌は良くなった
本当、見た目クールなのに中身とのギャップが激しいんだよな
「ん?」
『ううん何でもない』
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