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第186話
しばらくすると役場から来たであろう数名の職員達が集まって来た
「君!」
「ああ?俺か?」
さっきの職員が再び勝哉さんに声を掛けた
「凄い発見だよ!やはりあれは希少な絶滅危惧種だったよ!まさかここで見つかるなんて!」
「あー?」
すると中の1人がカメラを構えた
「ささ、並んで!」
「ああ!?」
訳がわからないまま勝哉さんは魚の入ったケースを持たされ、役場の人と並んで写真を何枚か撮られていた
。そして色々質問攻めをした後職員はこう言い放った
「明日の新聞に載るから見てね!」
「新聞……はぁ!?マジかよ!!!」
漸く状況を把握した勝哉さんは顔を真っ赤にした
「良かったですね勝哉さん、大発見じゃないですか」
「いや待て待て、おかしいだろ」
「明日が楽しみです」
「はー?」
これに関しては教師達もかなり驚いていた
「……ふぅ、大分綺麗になりましたね」
ゴミだらけだった川は雑草も刈り取られすっかり綺麗な姿を取り戻していた
「後はこの不法投棄だけですね」
「これはなかなか大変だな……」
先生と話をしていると、勝哉さんがまた近くに寄って来た
「どーした?」
「勝哉さん、いえっこの冷蔵庫をどうしようか話していたんですよ。持ち運ぶのも大変そうなので業者の方にでも……」
「あっこにある軽トラに乗せるのか?」
「え、ええ」
すると勝哉さんは私から軍手を取り上げた
「よし!退いてろテメェら」
「えっ勝哉さん?」
「おらっ!!」
勝哉さんは1人で冷蔵庫を抱え上げた
「ええっ!!?」
その場にいた全員が唖然とした
そしてそのまま歩いて行き冷蔵庫を軽トラの荷台へガンッと乗せた
「これでいいか?」
「凄っ……」
「今日は皆様ありがとうございました。皆様のおかげで凄く綺麗になりました」
最後は自治会長の挨拶
「あれ?あの元気な方は?」
「あれっさっきまでそこに……」
いつの間にか勝哉さんの姿が消えていた
勝哉さんにお礼を言いそびれた自治会長はがっかりとした様子だったが、嬉しそうに役場の職員達と帰って行った
「さて、私達も帰りましょうか」
先生達と一緒に学校へ戻り、少し話をしてから解散した
今日は本当に疲れたな……
学校の門を出ると、勝哉さんはそこにいた
「勝哉さん!帰ったんじゃなかったんですか?」
「帰って風呂入ってたんだよ!あの冷蔵庫運んだ時に中から変な液体が出てきててよぉ」
「液体……それは大変でしたね。私も早くシャワーを浴びたいです」
「ん、誰もいねぇーし俺んちのシャワー使うか?」
「勝哉さんの家のですか?……それは申し訳ないですよ。ありがとうございます、大丈夫です」
「使えよ!!」
「…………」
もしかしてこれはお誘いかな?
かなり疲れているが勝哉さんの顔を見ると元気になる
「わかりました。でもどのみち一度家に帰りますね。親も心配しますし……ですから勝哉さんは先に家に帰って待ってて下さい」
「あーはいはい」
しかし後ろをついて来る勝哉さん
「あの……」
「なんだ?」
「せっかくお風呂に入ったのにまた汗をかいてしまいますよ?」
「あ?別にいいだろ」
「でも……」
「だったら一緒にシャワー浴びりゃいいだろ」
「私と一緒に浴びたいのですか?」
「はぁ?」
勝哉さん眉間にシワが寄った
「ふふっそれならそうと言って下さいよ」
「うるせぇ!!」
「やはり先に帰って私を待っていて下さい。自分の家でシャワーを浴びてから勝哉さんの家に行きますから」
「あ?」
「どうせまた私も勝哉さんの家で汗をかくんですから……その時に一緒に浴びましょうよ」
「おまっ……はぁ……」
「ふふっ」
結局タダ働きした勝哉
最後は尾澤から沢山ご褒美を貰えた
そして次の日の新聞には勝哉の写真が載せられ、生徒会室の掲示板に飾られる事になる
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