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第191話
やっと唇が離れたと思ったらおでこ、頬、至る所に朔夜がキスをしてきた
そして次に俺の体をキツく抱き締めたんだ
「……本気でムカつく」
『ごめん』
「俺以外の奴に隙なんか見せるなよ」
『そんな事言われたって……』
「はぁ……」
肩に顔を埋め深い溜息を吐いた
「でもちゃんと断ってくれたんだね」
『当たり前だろ?』
「うん」
『俺は朔夜が好きなんだから……』
自分の口からはっきりと朔夜が好きって言ったのは初めてかも知れない
凄く不安そうな顔を見ると、早く安心させてあげなきゃって思ったんだ
「俺も大好き」
『うん』
朔夜の体をぎゅっと抱き締め返し、胸に顔を埋めた
朔夜の匂い
落ち着くな……
もう結構いい時間になってしまっていたから結局このまま朔夜は俺んちに泊まる事に
「ごめんね」
『俺もごめん』
俺達は互いに謝った
ほんの少しの喧嘩だった
けど、俺達がした初めての喧嘩
『朔夜って本当に嫉妬深いよね』
「そうだよ。俺は憂の事になると凄く心配性になるんだ」
『心配?何で?』
「憂は可愛いから……俺だけがその可愛さを知っていたいし、他の奴の視界にも入れさせたくないし、可愛さのあまりいつか俺から離れて行ってしまうんじゃないかって凄く不安になるんだ」
『可愛い可愛い言い過ぎな』
「だって可愛いんだもん」
『何だよそれ』
でも秀幸先輩も可愛いとか言ってたな……
さっぱりわからん。こんな捻くれ者の何がいいんだか
『俺可愛くねーし』
「可愛いよ、凄くね。……こんな俺の気持ちは重い?」
『別に。だってそれが朔夜なんだろ?』
「まぁね」
『だったらいいや』
「本当?」
『うん、でもやり過ぎはダメだよ』
「ごめんね」
『じゃあさ、もし俺が浮気したらどーなるの?』
ふと気になった事を聞いてみた
「浮気するの?」
『だからもしもだよ!』
「憂が浮気か……あーダメ!そんな事考えたくないよ!でも相手をぶち殺すのは確実だね」
『ぶち殺す……』
本当にやりそうで怖い
「じゃあ憂は俺が浮気したらどうするの?」
ニヤつきながら朔夜が聞き返して来た
『浮気か……そりゃかなりショックだろうな』
「それで?」
『うーーん……多分きっと俺はそのまま朔夜から離れると思うな。俺、自分に自信ないし俺よりその人の方が朔夜を幸せにしてあげられると思うんだ』
「憂……」
『うん?』
「そんな悲しい事言わないで!!」
『ぐあっ!!』
急に飛び掛かられてまた首が締まった
「俺は絶対に憂を裏切るような事はしないよ!信じて!!」
『わかった!わかったから力を緩めて!苦しいっ』
「だからそんな事言わないで!!」
『ちょっ!勝手に妄想して暴走するなって!ッッ』
「絶対に離さないから!!」
『や、取り敢えず今は離してっ』
「お願いだから俺から離れないで!!」
『頼むからお前が離れてくれ……ぐっ』
「離れない!!」
『ぐえっ!』
締めつけが悪化した
『ギ、ギブ…………』
「大丈夫?」
こ、この野郎…………
「好きだよ」
『誤魔化すな』
「んー?」
『また誤魔化した!』
「ふふっ」
『……うわっ!』
抱き上げられ、敷きっぱなしの布団の所まで連れて来られた
「仲直りしよ」
『もう仲直りしてるじゃんか』
「体でも……ね?」
『ただやりたいだけだろ』
「そんな事ないよ」
『本当かよ』
「もう黙って……」
優しいキスをされ、そのままゆっくり押し倒された
『んっ……っ』
そしてそのまま狭い布団で長い夜を過ごしたんだ
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