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第193話
新しい布団も一度干してから使った方がいいと朔夜が言うもんだからそれも全てやってもらってしまった
何だかんだとしている内にあっという間に1日が終わってしまったんだ
「……という事だから今日も憂んちにお泊まり」
『なんか部屋が広くなった感じがする』
「片付けたんだから当たり前だよ。思ってた以上に物が多かったからびっくりしたよ」
『俺もびっくりした!ゴミはないけど細かい物がごちゃごちゃしてたな!』
「自分の部屋なのに他人事みたいな言い方しちゃって」
『でもありがとう!おかげでスッキリした』
今日はのんびりと自分の部屋で過ごせそう
だけど部屋の隅に置かれた大量のゴミ袋……捨てに行くのが大変そう
「そう言えば憂んちの隣空いてるんだよね……俺が引っ越して来ようかな」
『な、何言ってんだよ!』
「それだったら移動も楽だしずーっと一緒にいれるもんねっ」
『いやいや勿体無いって!折角超いい所に住んでるのに!』
「俺は憂がいればそれでいいんだよ」
『何だよそれ』
「……よし!明日早速問い合わせしてみよう」
『本気?』
「勿論」
朔夜がお隣さんか……ってか大家さんには申し訳ないがこのアパートに朔夜って似合わなさ過ぎる
『まぁ好きにしなよ。朔夜んちだし』
「うん」
『でも色々不便になるぞー。セキュリティーは鍵1本だし風呂は手動だしキッチンだって食洗機付いてねーし』
「食洗機は別で買えば大丈夫」
『……そう』
もう自由にしてくれ
『うん!若干まだ狭いけど全然いい!!』
俺の布団がセミダブルに進化した
試しに朔夜と2人で寝転がってみたがいい感じ!
「憂の部屋に俺の枕が……嬉しい」
『朔夜専用だもんな』
「俺がいない時使ってもいいよ」
『いいの?』
「勿論!そうしてくれた方が憂の匂いが染み付いてリラックス効果が得られるから」
『ごめん普通に気持ち悪い』
「やっぱり?」
朔夜の枕の隣に俺の愛用クッションを並べてと……
『さて寝る前に1つ言う事がある!』
「ん?何?」
『新品の布団汚したくないから今日は絶対やらない!!』
「えー」
『やらない!!』
「えー」
『やらない!!やりたかったら1人でやりなよ!』
「見たいの?」
『ぶっ!!!』
思わずヨダレが出そうになった
『何言ってんだよバカ!!』
「まさか憂にそんな趣味があるなんて……仕方ない、俺頑張るよ」
『いやいやいやいや絶対見たくないから』
「おかずは憂だね」
『部屋も広くなったし押入れにしまったシングル布団で寝ようかな……』
「冗談だよ」
朔夜が言うと冗談に聞こえない
ってか本当にやりそうで笑えない
ゴソゴソと布団の中に潜り込み寝る体勢をとった
でも……
『抱き枕にされると結局寝苦しいよな』
「そう?」
せっかくセミダブルにしたのに全身朔夜に密着し過ぎて狭っ苦しい
「気にしない気にしない」
『じゃあこれは?』
朔夜の腕をどけ逆に俺が朔夜を抱き枕にしてみた
「何か新鮮だね」
『うん……でもあんましっくりこないからやっぱいいや』
「えー」
朔夜に背を向け再び寝る体勢をとった
『……あ』
「ん?」
『ううん、何でもない』
俺、前からじゃなくて後ろからぎゅってされて寝る方が好きかも
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