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第5話

   山岸が自分の上に乗っかっているだなんて、とうてい現実の出来事とは思えない。胸をはだけられて、そこに頬ずりされて、あまつさえ異物が躰の中心を行きつ戻りつする。 「ん、ぐぅ……っ、っ」  異物が鉤に曲がって内壁を引っかく。あろうことか尻の孔に指をねじ込まれて(なか)をかき回される、という事態に直面しているのだ。  血の気が引き、身の毛がよだつ。断じて認めたくない、認めたくないが、これはいわゆる貞操の危機というやつなのでは……? 「起きたんだ、ちょうどよかった」  山岸が、大股開きに広げられた足の間に腰を割り込ませてきた。 「慰め役に徹してあげた報酬にバックヴァージンをもらえば、プラマイゼロだよね」  乳首をついばみ、あどけなく笑みくずれた。 「据え膳は食う主義なんで、を」  ジーンズの中心を太腿にすりつけられるともに、内壁をくじりたてられた。 「狭くて締めつけぐあいも抜群なで可愛がってもらうんで協力のほど、よろしく」 「だっ、男性同士でも強姦罪が適用されるよう法律が改正されたのを知らないのか!」 「警察に被害届を出すんだ。勇者だなあ」  知能犯め、と望月は舌打ちをした。こちらが泣き寝入りするのを見越して犯行に及ぶとは、あくどいにもほどがある。  ペニスに指がからんだ。並行して後ろを悪戯されると、意に反して萌むものがある。 「指を抜きたまえ、ただちに、どきたまえ」 「だぁいじょうぶだって。ローションいっぱい塗ったから痛くないっしょ」  望月は跳ね起きた。だがアルコールが抜け切っていないために山岸を突きのけしだい遁走を図るどころか、目が回ってくずおれる。  おまけに期せずして指を締めつけてしまったせつな、内奥の一点が甘ったるく疼いた。連鎖的にペニスが芯を持ち、すかさず包皮をむき下ろされるにつれて勃ちあがっていく。 「……く、ぅ……」  獲物を仕留めた狩人のような顔つきで、山岸が舌なめずりをした。深々と挿し入れた二本の指をVの字に広げたり、ひねったりする。

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