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第9話
「アンアンさえずるオジサンは予想外に可愛くて、俺色に染めたくなるかも」
「オジサンとは、失敬な……ひっ!」
うねりに逆らうふうにかき混ぜられると、下半身が蕩けてしまいそうだ。
「締めすぎ、デる……」
耳たぶを食まれた。呻き声をそそぎ込まれると、びりびりするものが脳天まで突き抜ける。律動が激しさを増し、望月は反射的にいきんで昂ぶりを押し返した。
それは逆効果だ。内壁がじゃれつく形になった刀身がなおさら膨張して荒れ狂い、ゴムで隔てられていてさえ熱液が迸った気配が伝わってきた。
ひと呼吸おいて、伸びやかな肢体が崩れ落ちてきた。この苦役からようやく解放される。望月は苦心惨憺ずり上がり、つながりを解く寸前までいってホッとした。
ところが。
「じゃあバリエーションを増やすってことで、今度はバックで腰を振ってみよっか」
うつ伏せにひっくり返されて早々に、復習と称して二回戦になだれ込まれた。
そんなこんなで夜通し貪られつづけたすえに、望月はぐんにゃりと横たわった。あらぬところが腫れぼったいわ、妖しいシミがワイシャツにこびりついているわ、和毛 はがびがびだわ、と不幸の三重奏だ。
心ならずとはいえ、男とセックスしたうえにイッてしまうとは、自分は淫乱体質だったのか? 死にたいと、うわ言のように呟いた。
死相が現れているような望月にひきかえ、山岸は鼻歌交じりに身支度を調えると、
「俺は仕事だから先に出るけど、望月さんはチェックアウトぎりぎりまで寝ていきなよ」
ヘッドボードにはめ込まれたパネルを操作して、アラームをセットした。
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