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第84話

 下着とひとまとめにスラックスを蹴り脱がされ、嬉々として茎がまろび出た。勢いよくしなうさまが、期待に満ち満ちているようで恥ずかしい。  望月はあわてて掌で股間を覆い、ところが手錠の右と左の輪をつなぐ鎖を鷲摑みに両手を引きはがされた。 「努力家で健気で、むっつりスケベのドM。誠二は理想的なパートナーだ」    山岸流の殺し文句を並べ、くちづけてきた。  狭間が暴かれてジェルが塗り込められる。その間も根こそぎにする勢いで舌を吸われ、思いの丈を込めて貪り返すと自然と蕾がほころぶ。望月は、あえぎ声を嚙み殺しながら懇願した。 「きみを抱きしめたい、手錠を外してくれ」 「透真だよ? 誠二」 「頼む、透真」 「だぁめ。俺のやり方に慣れればいいだけの話なんだから、苦情は受けつけません」     中指につづいて人差し指が門をくぐった。圧迫感が強まれば躰がずりあがり、だが内壁は餓死する寸前で食事にありついたように指をぱくつく。しこった乳首を山岸の胸に、切なげに蜜をこぼす茎を同様に腹にすりつけてしまう。  果てはスイートスポットを巧妙に避けつつ(なか)をほぐされている途中で一回、達するありさまだ。 「……ぁ、ん、ああっ」 「指マンで中イキするとかって感度よすぎ。ひとりエッチで完璧に開発ずみな感じ?」  違う、違う、と望月はうわ言のように繰り返した。山岸が触れてくるからだ。しなやかな指が奔放に泳ぎ回り、そこにふたりが結ばれるための道をつけていく──。  そう思うと制御不能に陥り、指を奥へ奥へといざなうように襞がさざめき、残滓が乾ききらないうちからまた熟すのだ。  やがて、ジェルが泡立つまでにそこが咲き匂う。這わされて腰を抱え込まれると胸が高鳴り、それでいて羞じらうように入り口がすぼむ。  昂ぶりが花芯にあてがわれた。襲いくる衝撃に備えて、望月は努めて全身の力を抜いた。  ところが屹立は尻の割れ目を行きつ戻りつするばかり。どうやら山岸は、ここ、ここに至りて焦らしぬく戦法に出たようだ。

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