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集団デート 2

 カラオケの部屋に入り「弘、奥行って」と京に押されて席に着くと、僕の隣に京、その隣に京に張り付いていた女の子2人が座るようになる。不満そうな声にも京は平気な顔で「男同士の内緒の話があるの」なんて言って「やらし~」と女の子からまんざらでもない声を浴びている。  向かいを見ると茂と紺野さんが隣同士でいい感じに話していて、とりあえず今日の僕のミッションは成功らしいとほっとした。さらにその隣には現同級生と元同級生女子に囲まれ盛り上げ役となっている武がいた。 「今日も武は成果なしだな」と京が耳打ちしてくる。思わず笑うと「あいつ、いつもそうなんだよ。彼女欲しいって言うけど当分無理」と呆れている。 「ねぇ、京くん何歌う?」  僕の逆側、京の左に陣取った女の子が馴れ馴れしく京の腕を引き強引に話題を変えた。胸元が大きく開いた服から白い谷間が見せつけるように覗いている。更にその横から「ね、これ歌ってよ。この歌すごい良いよね」ともう一人がねだる。こちらは胸元は控えめだけれどホットパンツから健康的な足がすらりと伸びている。  どちらも精力旺盛な男子高校生だったら思わずグラリときて飛びつきそうな肢体で、熱烈なアタックを受けている京も男子高校生らしく、戸惑いつつも思わず白い肌に目が吸い寄せられているのが見て取れる。  どちらにもグラリとこない自分は本当に女の子には興味がないんだなと他人事のように思う。むしろ、僕が今気になるのは女の子がさりげなく触れている京の筋肉の盛り出た腕や話すと緩やかに上下する喉仏で、やっぱりかっこいいよなぁとまじまじと眺めた。無邪気に可愛さをアピールする女の子達に嫉妬しながらも、僕だって女の子だったら胸や足を見せつけただろうし、手だって触れてみたいと思っただろう。京の気を引きたくてあれやこれやと手を尽くす女の子に嫉妬と同時に共感を覚えて複雑な気分になる。  突然賑やかな曲のイントロが流れ「俺一番ね! 聞き惚れてないでちゃんと次の曲入れといてよ」とマイクを握った武が調子よく歌い出した。

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