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その日 5
胸に飛んだ精液が、肌を伝って落ちる。ツ……と肌を伝った後がヒヤリとして、余計に熱を感じる。
達した後も刺激し続けられて弘の快感は制御不能になり、小さな刺激にさえビクビクと身体を震わせた。
「ベタベタ」
そう言って手を拭う京に触って欲しくて、だけど一度出した京はさっきまでの性急さはなくて、羞恥に口を噤む。
実際、京はここまででいいかな、と思っている。後は、抱きしめて眠れれば……。
「こっちも飛んじゃったな」
「んっ……」
弘はふいっと胸から腹を拭われて息をつめる。その反応に手を止めて京は弘を見た。
「まだ?」
甘勃ちしたままの弘に触れ、笑いを含んだ声で聴かれる。自分の浅ましさに気が遠くなりながらコクリと弘は頷く。
「弘は淡泊なんだと思ってた」
「そんな事ない。……やだ?」
「いや、嬉しいなって。それって、俺を好きだから?」
「……そ、だよ……」
直球で聞かれ、恥ずかしさに否定したくなるのを抑えて答える。好きだから、触れたいと理解って貰えるのは嬉しい。
「好きって言って」
余った片手で弘を抱き締めて言う。
「……すき」
「もっと」
「好きだよ。京が好き、大好き」
「ほんとに?」
「……ずっと、京だけ好きだった。すごく、すごく好き」
弘に抱き付かれて言われ、京は抑えた長い溜息を吐く。
「俺、弘の事、すげぇ好きみたいだ……」
──ごめんな。
言葉にならない声を胸の中で呟く。
──陽菜の事好きだって言ってごめん。陽菜と付き合っててごめん。ずっと、弘だけ待ってられなくてごめん……。
その時はどうしようもなくて精一杯で、でも流されてた自分が、傷付いて陽菜に慰められてた自分が不甲斐ない。
抑えられない気持ちが、涙になって盛り上がる。
そんな京に気付いて、弘がもう一度「すき」と呟く。
「キス、して……」
そのまま少し顔だけ離してねだり、直ぐに応えた京の唇を味わう。一筋だけ流れた、涙の味がするキス。
「ねえ、もっと……、最後までしてくれる?」
聞いておきながら弘は怖気づいて「京がしたいと思ってくれるならでいいんだけど……」と弱気に続ける。
「いいの? 俺は、弘の事抱きたい」
「うん……」
二人の間に、濃密な夜が落ちる。
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