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それはもうビックリしました
「クリス。俺と恋人になってくれないか?」
つい先日同僚の、しかも男に告白された。
いや、実は何度か同性に告白された事はある。
だが皆一様に、背が低く可愛らしい感じの奴ばかりだった。だが今回俺に告白して来た男は普通の男だった。
いや、俺に告白してきたんだからノーマルではないだろうが、こんな事を言われるまで彼が男を好きになるような人物だとは思ってもみなかった。
彼はシェスといって騎士団ではいつも沢山の仲間の中心にいる人物だ。一人での行動を好む俺とは、ほとんど接点は無かったはずなのだが、いつの間に好意を寄せられていたんだろうか?
「お前、俺の事好きなのか?」
あ、しまった。
余計な事聞いてしまったな。
俺にこんな事告白してきたんだから当たり前だよな。
「うっ!お前、そういう事・・・そのだなぁ」
「・・・・・別に構わないが?付き合っても」
「あーそうだよねぇ?駄目だよねぇ?それが実は・・・はい?」
驚いた。何がって、自分の返答に。
何故俺はシェスを受け入れてしまったんだろうか。
いや、前々から彼に少し興味はあった。
とくに、スィーツを好きだと偶々知った時は是非好きな甘味について語り合いたいと思っていた。
実は俺も甘い物がとても好きなんだ。
でも、男でスィーツ好きだと言うのは中々肩身が狭いもので、馬鹿にされやすいし共感してくれる者も少ない。
シェスがそれを隠しているのは分かっていたので俺は是非仲良くなって趣味を共有したかった。
ここで断ったら、二度とまともに話せないかもしれないと思ったらつい、付き合う事を了承してしまっていた。
「アンタねぇ?それ大丈夫なの?相手は貴方と恋人になりたいんでしょ?つまり女性とするような事をアンタとしたい訳。貴方ノーマルでしょ?同性相手に出来るの?」
「そうなんだが、三ヶ月経った今でも、そんな気配がまるでない」
「はぁ?それは向こうがアンタに気を使って何も言えないんじゃないの?キスぐらいは、したんでしょうね?」
していない。
そもそもどのタイミングですれば良いのか分からない。
相手は男だし女性みたいに分かりやすくはない。でも、そうか。こう言う場合、俺から動かないと駄目なのか?
「ハァーーー。貴方そんな感じだから直ぐに振られるのよ。誤解されやすいんだから、一度受け入れたんならちゃんと相手に合わせてあげなさいよ」
そうなんだな。
あまりにもそんな雰囲気にならなかったから、気にしてなかったな。シェス、ケーキしか見てないしな?
でも、もし俺が動くのを待っていたなら悪い事したな。
「そうだな。次に会う時にでも聞いてみる」
「阿呆!そんな事聞くんじゃないわよ!そんなの別にいいって言うに決まってるでしょ?自然に、さり気なくそういう雰囲気に持って行きなさいよ!!」
それは中々難易度が高いぞ?
本当にそういう雰囲気にならないんだ。不思議なほどに。
何故だろうか?俺の所為か?うーん。
「うお!美味そう!!クリス凄え!」
「そんな事はないぞ。ロールケーキは作るのは簡単な部類だ」
それにしても、美味しそうに食べるよな、シェス。
素直というか。普段我慢している分ここで発散してる感じだな。笑っているシェスの顔は結構好きだ。
「あー美味しかった!クリスご馳走さん!」
「ああ。また持って来てやる。お前口にクリーム付いてるぞ?」
「え?マジ?どこ?」
しまった。ハンカチを忘れたな?ん?コレはいいタイミングなのでは?
「クリス?」
「ジッとしろ」
そういえば、シェスに触れたのは、これが初めてだな?
いきなりがこれだと驚かれるか?いや、こうでもしないとタイミングがないのも確かだ。クリームを舐めとったついでにキスも済ませてしまおう。
「ンむ!?」
「・・・・シェス。少し口を開けてくれ」
激しく首を振られたがコレは、照れてるのか?
体がガチガチになってるな?・・・緊張しているのか。
どうにか力を抜けさせないと。
「あっ!ちょ。耳はやめっ・・・・ん」
甘いなコイツの口の中。
いや、当たり前なんだが。
それに、思った以上に気持ちいいな。これ。
「んはぁ・・・・あ、クリ、スやめ・・・」
なんだその顔。
もしかしてお前、これだけでかなり気持ち良くなったのか?じゃあもう少し気持ちよくしてやろうかな。
コイツ、男の癖にいい匂いするな。
これは、香水なんだろうか?爽やかな香り。
ケーキの甘い香りと混ざり合って、なんか、エロい。
「んーーーー!!んふ!?ん、ん、んー!」
それにしてもコイツ、随分とその、敏感なんだな。
耳も弱そうだし、ちょっと舌を吸っただけでこの反応。
本番になったらさぞ・・・・・。げし!!!
「長い!!そして、しつこい!!!」
「あ、そうか?」
しまった。考え事してたらつい。
でもシェス。お前かなり気持ち良さそうだったぞ?
あと俺、男とこういう事するの意外と平気だったんだな。
それにビックリした。新しい発見だ。
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