「しばらく・・・忙しくなるから会うのは控えようぜ」 「そうなのか？忙しいって言っても会えない程では」 「俺が大変だから・・・一週間くらいは」 シェスにそう言われて会わなくなってから３日。 一度もシェスの顔を見ていない。 「クリス最近は一人ねぇ？恋人はどうしたのよ？」 「・・・・忙しいらしい。一週間くらいは会えない」 「ふーん？会えない・・・・ねぇ？珍しい事もあるわね？」 「？」 シェスは仕事が忙しいと言っていたが。アレは違うな。 明らかに避けられている。 やはり原因はこの前の事だろうか？ 最初は本当に簡単に終わらせるつもりだったんだ。 正直俺も男同士でいきなりちゃんと出来るとは思っていなかったし、だが恋人同士なのにそれを避けて通るのも不自然な気がした。 向こうから俺の部屋に来たから、てっきりそのつもりがあるのかと思ったんだけどな？ 「・・・ハァハァ・・・」 「・・・・・シェス」 「・・・・も、いいだろ・・・離れて」 「・・・・・どうした？もしかして、痛かったか？」 終わった後、全然こちらを見ようとしなかったから、おかしいとは思った。だが、シェスがその行為を嫌がってたなんて考えになかった。 「悪りぃ。今日はもう帰る・・・また、今度出かけようぜ」 「え？シェス？」 「また明日な」 それからの暫く会わない宣告。 コレは間違いなく・・・・。 「アンタ。相手にちゃんと確認せず進めちゃったの？馬鹿ねぇ？男同士なんだからちゃんと確認しときなさいよ。アンタの悪い所よ」 「・・・・いや。まぁ、そうなんだが」 確かに。 シェスは男と付き合うのは初めてらしいし多分付き合えるとも思ってなさそうな様子だった。 もしかしたら断られる前提で俺に告白したのかもしれないな。それなら、確かにその先の事まで考えてなさそうだ。 「でぇ？どうだったの？シェスちゃん。可愛かった？」 「・・・・・・お前な」 「ふーん？どストライクだった訳ね？アンタの事なんて私お見通しだからね？」 そうだな。 決して見た目が可愛いとかそういう訳ではないんだが・・・正直かなりグッとキた。 あの、気持ち良さそうにしている顔が堪らなくいい。 でも、本人がそういう事を望んでないのなら無理強いは良くないな・・・。確認して、嫌そうなら控えるか。 「クリスが本気になりそうなんて珍しい事もあるものね？しかも相手が同性とか・・・相性が良いのかしら？」 「まぁ。居心地は最高にいいが・・・向こうはどうだろうな？」 俺の事好きだという割には接し方はいたって普通だ。 なんというか・・・共通の趣味を持つ友人のような距離で接してくる。それでもいいかと暫く放っておいたが、それでは恋人とは呼べないからな。 とりあえず期間が過ぎたら会いに行ってみるか。 「あれ？クリスどうしたー？誰か探してる？」 「ああ。シェスはまだ外回りから帰って来てないのか？」 「シェスなら裏で鍛錬してるよ？最近平和だから鈍るって言ってた」 「そうか。助かった」 裏の訓練場だと誰かと一緒かも知れないな。 俺が話しかけると説明が面倒かも知れない。 どうするか・・・・。 「お疲れシェスー！！なぁなぁ！この後、女の子達と遊びに行くんだけどな？シェスも来いよ！お前の好みの女の子もいるぞー？」 「お前相変わらずだな？何処からそんなに女の子連れて来るんだよ？」 「えー？それは企業ひ・み・つ！ボインもいるよ？」 ・・・・・・これは。タイミングが悪かったか。 この流れだとシェスは断らなそうだな・・・。 俺との事は隠しているしな。 「・・・・悪りぃ。俺この後用事があるんだわ」 「え！嘘？シェスが女の子との出会いを断るなんて！？明日は暴風雨かな？」 そういえば、前は気にしてなかったが、シェスは女好きで有名だったな？ん？それなのに何故俺を？おかしくないか？ 「ウルセェな。俺だって真面目になる時もあるんだよ」 「・・・・・もしかして、クリス？」 ん？なんだ？シェス俺の事を話しているのか？ てっきり隠しているんだと・・・・。 「おう。もういい加減ちゃんとしねぇと・・・クリスにも悪いし」 「え？どういう事？まだちゃんと説明してないの？」 「・・・・・・実は」 「え？それはヤバイだろ？アレからもう四ヶ月くらい経ってるよな？それはもう・・・完全に付き合っているという事なのでは？」 ？いや、最初からちゃんと付き合っているが？何の話だ？ 「今更あの告白は嘘でしたなんて、どう言うつもりなの？」 「・・・・・そう、なんだけど・・・・」 「クリス完全にシェスが自分の事好きだって勘違いしてるんだよね？お前それで・・・今まで何もなかったの？」 「・・・・・そう、ならないよう。今日ちゃんと話そうと思ってる」 ・・・・・・・・・・。 ちょっと待て。それは一体なんの冗談だ。 つまり、最初から全て嘘だったということか？ 「あいつ、いい奴なんだよ。仲良くなったら言い辛くなっちまって・・・でも、これ以上はあいつにも悪いしな」 お前、いくらなんでも、それはないぞ。 それに、色々と手遅れな気がする。 「あーーもう、口も聞いてくれないかもなぁ」