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いや、知ってたけど
遂に言ったな?
やはり、この前俺が我慢出来ずに一線を越えそうになったのがいけなかった。
でも、指であんなに気持ち良さそうだったから、つい。
「シェス・・・このまま・・・入れたい」
「えっ! ・・・・んぁ!だ、駄目! それは駄目だ!」
「なんでだ? 絶対気持ち良いぞ? シェスの気持ち良い所全部俺ので埋め尽くしたい」
本当に危なかった。
たずねながらも既に先っぽが入りそうだったからな。
シェスが本気で嫌がらなかったら止められなかった。
だが、やはりアレが決定打になったんだろうな。
・・・そう、思っていたんだが。
「・・・じゃあ、俺の事は、なんとも思ってないんだな?」
「き、嫌いじゃないし、好きだけど・・・クリスが思ってるものとは、違うと思う・・・俺このままこの関係を続けるのはいけないと思って・・・」
「・・・今更だな? あそこまでされて、お前よく平気だったな?」
未練がましくそんな事を口にした俺に、シェスは怒るどころか真っ赤になりながら下を向いた。
想像とは違うシェスの反応に俺はちょっと期待してしまったんだ。もしかしたら、少しは俺の事を好きなんじゃないかと。
「・・・それで? 俺と別れたいのか?」
「・・・・・そっ・・・」
俺の問いに音葉を詰まらせたシェスを見た時、俺は改めて思った。シェス、お前は本当に可愛いと思う。
そして、優柔不断すぎて、やはり呆れる。
「お、俺・・・は・・・」
「じゃあ、今度は俺が申し込む」
「・・・・は?」
「シェス。俺と付き合って欲しい」
固まったシェスが、それでもぎこちなく頷いた時の俺の心境を皆にお届けしたい。
俺は・・・・やり遂げたぞ!
「お、怒ってないのか?」
「まぁ、多少ショックではあるけどな。一緒に居られるなら構わない」
「そ、そうなのか? 」
シェスは素直な奴だな。
人を騙すのには向いてない。
それに結構人懐っこい所があって、懐くと可愛いんだ。
一緒にいると、本当に飽きない。
「ゆっくりでいい。俺の事をもっと、好きになって欲しい」
「・・・・おぅ。じゃ、じゃあ、これからも宜しく?」
よし。
じゃあ、シェスがおかしい事に気がつく前にサッサと俺に夢中にしてしまおう。
シェスは単純な所があるから、行くところまで行ってしまえば俺から離れられなくなる筈だ。
「クリス? どこ行くんだ?」
「今日は芋のケーキを作ったんだ。生クリームと蒸して裏ごしした芋を混ぜた物を焼いたケーキのスポンジとクリームの上に乗せたんだが」
「な、なんだそれ! う、美味そう」
「たまには外で食べるか? 天気もいいし、涼しくなってきたしな? 湖畔にでも行けば人もあまりいないだろ?」
いや、やっぱりそういう考え方は、改めよう。
「いいなそれ! 普通の恋人っぽいな!」
シェス・・・お前それ、わざとなのか?
そんないい笑顔でそんな事言われたら俺は堪らないんだが。絶対わかってないな?
「本当は、こんな筈じゃなかったんだけどな・・」
シェス? なんだその微妙な顔は。
本当は嫌だとか言わないでくれ。
それだけは断固拒否するぞ。
「こんなに、クリスと仲良くなるとは、思わなかったんだ」
「それは、俺もだな。ありがとうシェス」
「は?なんで、お礼? 」
それはそうだろう?
お前があの時、俺に声をかけなかったら、俺達は今頃一緒にいなかったからな?
「告白相手に俺を選んでくれたお陰でお前と知り合えた」
「なん・・・だよそれ。俺だって・・・もっと早く普通に声をかけるんだったって、思ってた」
それは、どうだろう。
それだと、こんなに長く一緒にはいられなかったと思う。
「それは、断る。もうお前は友人じゃなく恋人だからな」
「・・・あの、それだけどさぁ。その、やっぱりこの前の続きとかするんだよな?」
「そのうちな? 嫌なら無理強いするつもりはない」
あからさまにホッとしたな。
まぁ、シェスは元々男が好きなわけではないから仕方ないが・・・少し気に入らない。
「だけど、嫌がらないなら遠慮はしない。俺とするの、嫌いじゃないだろ?」
「お、お前意外と自信満々だな? あと、見た目によらず積極的だな! 俺も騙されてたのか? もしかして」
そうだぞ?
お前気付いてないが、お前が嘘をついていた事知っていてわざと知らない振りをしていたからな?
実はお互い様だ。でも、俺は言わない。
「まぁ。それだけ俺も必死だという事じゃないか?」
「・・・・な!?」
ちょっと物足りないが今はこれでいいか。
でもシェス。俺は多分お前が思っているほどいい奴じゃないぞ。途中からは割と計算して動いてた。
俺だってこんな筈じゃなかったんだからな?
「まぁ。甘い物を欲しがるのと同じぐらいには、俺の事も求めてもらうのが俺の目標だからな」
「それって物凄く求めて欲しいってことじゃね? 前言撤回していいか?」
「却下する。シェス、キスしたい」
「や、やっぱ自信ないぞ! ちょっ!クリス・・・ん!」
俺だって最初は自分が信じられなかったからな?
俺も途中まで気付かなかった。
シェス。
俺は、お前に告白されたあの時、恋に落ちたみたいだぞ?
騙されたのは俺ではなく多分お前だ、シェス。
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