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想定外の出来事だったんですよ

僕はパリス。 ここの下っ端騎士で、今まで面倒な事は上手いこと避けながら生きて来たつもりです。 でも、あの人に出会ってから、そんな生活が音を立てて崩れ始めたんですよ? そもそも、なんであの人・・・うちの副団長は僕にあんなに絡んで来るんでしょうね? 「お前! またサボってただろ? 俺の目は誤魔化せないからな?」 僕、本来なら全然目立たない人間なんですよ? それなのに、あの人が事あるごとに僕を見つけては絡んで来るから、僕も少し意地になって、つい反抗的な態度とっちゃってたんですよ? 今時あり得ないぐらいの体育会系というか、時代遅れと言うのか・・・僕はジェイダとは相容れないと思ってました。 でも、途中からジェイダが僕に送ってくる視線に違和感を感じたんですよね。 あの人、気がつくといつも、僕の口元を見てるんです。 「なんです? またお小言ですかぁ?」 「なんだ? またサボってたのか?」 おかしい・・・・もしかしてこの人、変な目で僕を見てるんじゃ? いや、まさかね? だってあの人全然そんな感じじゃないのに・・・。 「おい、口元に何かついてるぞ?」 「ん? あれ? なんですかねぇ?」 ちょっと? 別に拭ってもらわなくても大丈夫ですが? 子供じゃありませんし、こんな物舐めれば取れますから。 「・・・・・・・っ!」 「ん?」 ジェイダ? なんで急に目を逸らすんですか? ・・・・あれ? この人・・・。 「午後はちゃんと門番の仕事に行け。あれも仕事のうちだからな?」 本当は、ちょっと揶揄って終わりにするつもりだったんですよ? こんな筈じゃなかったんです。 「パリス? ジェイダが探していたみたいだぞ?」 「げぇ・・・ごめんクリス。僕を匿って欲しい」 そもそもクリスがあんなエロい事隣で堂々としてたのがいけないと思いますよ? 聞き耳立てたとは言えないので文句も言えないですが。 「最近、お前達どうしたんだ? パリス、前は嫌がりながらジェイダを上手くかわしていただろ? 」 「・・・ちょっと色々ありまして。そもそも業務外に会いたくないんですよ。暑苦しい」 「まぁ、確かにな。ジェイダは悪い奴ではないが、少し押し付けがましいからな」 そうなんです。 あの日俺達がその場のノリで行く所まで行っちゃった後、あの人何故か責任を感じたみたいで、その、付き合おうとか言って来たんです。いやいや? あの人貴族の御令息ですからね? ああ見えても。遊びで済ませようよ! 「そうなんですよねぇ?正直重い・・・僕これ以上は関わり合いたくない」 「噂をすれば、お前探されてるぞ?」 ひぇ! ヤバイですね? 隠れる所隠れる所・・・。 隣の倉庫にしましょう。 「僕、ここにしばらく隠れますからクリスはその事誰にも言わないで下さい」 「構わないが・・・あまりサボると、面倒な事になるぞ?」 「僕は最近本気で転職を考えてるので大丈夫。お気になさらず」 さぁ、ここで少しだけ仮眠をとって時間を潰してジェイダの業務が終わる頃合いに戻るとしましょう。 シフト制ですから明日以降は暫くジェイダとも会いませんし? はぁ、本当に面倒な人だな。 「全く・・・本性を隠してました、あのエロ副団長め」 お陰で僕はあの後大変だったんですよ。 身体中だるいし。腰は痛いし。事あるごとに・・・あの時の事を思い出してしまうし・・・。 副団長なだけあってジェイダの体はちゃんと出来上がってましたね。同じ男なのに全然筋肉のつき方が違います。 元々ガタイがデカイというのもありますが。 ちょっとドキドキしたのは気のせいです。ええ。 ジェイダが唇フェチだと気が付いてから、いつかそれをネタに揶揄ってやろうとは思ってたんです。 でも、僕も大概です。 まさか、いきなりジェイダのアレを咥えるなんて。 「魔がさした。魔がさしたんだ・・・アレは事故みたいなものです」 しかも咥えた自分がうっかりそれで興奮してしまうなんて・・・せめて手ですれば良かった。 ジェイダ。完全に理性を失ってましたからね? 最終的にあの人、僕の後ろのヴァージンと僕の唇同時に奪っていきましたからね? 「んーっふぁああ」 「よく眠れたか不真面目騎士殿」 「え!? ジェイダ?」 人がうとうとしてる間にこんな近くまで? え? なんでここが分かったんです? 「・・・あからさまに避けるな? そんなに嫌だったのか? 誘ったのはお前だろうが」 「ちょっ! ジェイダ近い! だから、別に僕は気にしてないですって! もう、ジェイダもあの日の事は忘れて下さい!」 僕、ジェイダの事が分からないです。 最初はジェイダは嫌がってました。 戸惑っていたっていう方が正しいかもしれませんが。 それなのに、途中から寧ろジェイダの方が執拗に僕を攻め立てました。余りに欲求不満が溜まり過ぎて爆発したのかと思ったんですよ? 僕も火を付けた手前、最後まで付き合わないと悪いと思って・・・まぁ、まさか本当に最後までやっちゃうとは思いませんでしたけど。 「なんでだよ? 気にしてないなら、触らせろ」 はぁ!? こ、この人何言って・・・って何、無許可でキスしてるんです? 「ん! んんん!」 し、し、しかも執拗に繰り返しますね? 駄目です! この人もしかして、癖になっちゃったんです? 「はぁ・・これ、以上は・・駄目ですから」 「お前、ちゃんと責任を取れ」 責任をとる? なんの責任を僕は取るんでしょうか? その台詞は寧ろ僕が口にすべきでは? この人ちょっとおかしいです。 「お前に避けられるのは堪える」 「・・・・・子供じゃあるまいし、何言ってるんですか?まさか、今まで僕に絡んで来たの、僕の側に居たいからとかじゃないですよね?」 「・・・流石に、それは、ないぞ。・・・多分な」 あは。あははは? いや、そんな馬鹿な? ジョークですってば。 何本気で答えてるんですかアンタは。 え?マジです? 「お前の・・・唇が、俺の好み過ぎて・・・確かに多少は近寄る口実に使っていたが、ちゃんと仕事の範疇内だ」 「職権濫用です! 訴えますよ!」 あ、あと! さりげなく服剥ぎ取るのもやめて下さい! ここ職場! 今仕事中ですからね!? サボってた僕が言うのもなんなんですがぁー!!

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