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シェスさんの本心

「第一騎士団からは俺達が同行する」 初めてクリスと関わりを持ったのは多分二年くらい前? 元々騎士階級が違う俺達はそれ程仕事が被る事がない。 クリス達とは違い俺達はそれ程王族と接触はない。 あっても士官の護衛とか軍と連携して祭祀の準備したりとか、まぁ出世をしたい騎士にしてみたら第一騎士団は憧れみたいなもんだ。 俺?俺は、特になんとも思ってなかったな? ただ、クリスはとても苦手ではあった。 だってアイツ全然笑わないんだぜ? いつも無表情。淡々としてて、つまらない奴だって思ってたんだ。 「クリスっていつも第二に来るよな?なんでだろ、こき使われてるんか?」 「いや、多分他の奴だと揉めるからじゃね?無駄に血の気多いからなぁ?その点クリスは不動だからな?ジェイダとクリスぐらいじゃん?俺達と接触して来るの」 第一騎士団のクリスの事を煙たがっている奴がいたのも確かで、だからゲームの罰ゲームがクリスに対するささやかな嫌がらせになる筈だった。 それなのに・・・・。 「シェス、美味いか?」 クリスが笑う。俺を見て。 いつもは涼しげな目元が柔らかく細められる。 俺はクリスはもっと冷たい奴だと思ってた。 「シェスは本当に美味しそうに食べるな。今まで趣味を共有出来る相手がいなかったからな。楽しい」 それは俺だよ。 なんなのクリス。 お前その見た目で第一騎士団で実は超優しくて甘味好きでテクニシャンとか完璧超人なの?なんで今まで恋人いなかった? 「さぁ?いつも相手が去って行くからな・・・俺は、つまらないらしいぞ?」 そんな事ない。 確かにお喋りではないけれど、決して無口って訳じゃない。 不必要な事は口にしないだけだ。俺はクリスといるととても楽しい。だからさ?俺本当に後悔したんだ。 なんで俺もっと早く、普通にクリスに声かけなかったんだろ。そしたら、こんな後ろめたい気持ちにならなかったと思うんだよな。 クリスが俺を恋人扱いする度に申し訳ない気持ちになって でも、その手を払い退けられない自分に驚いた。 だって、もっと触れて欲しい。 クリスに触れられると、今まで感じた事ない感覚が湧き上がって変な気分になる。俺は、これがなんなのか分からなかったんだ。 「シェス!待ってくれ!誤解だ、俺は何も言ってない」 「・・・もう、やめようぜ」 「シェス?」 クリスに悪いと思った。 最初のきっかけも最悪だったし、俺に応えて頑張って付き合ってくれてたクリスをずっと騙して今まで関係を続けた癖に、一線を超えるのが怖くて逃げ出したくて真相を告白した。 なのに、受け入れてそれでも俺を好きだと言ったクリスに俺は、また甘えた。でもさ? 「やっぱり、別れよう。クリスが悪いわけじゃねぇよ」 「・・・そんなに、俺と別れたいのか?」 俺は、同性のクリスとちゃんと付き合う覚悟もクリスの気持ちに応えられる自信もない。そんな奴の為にクリスの貴重な時間を使わせるわけにはいかねぇだろ? 俺、クリスには、クリスを大事にしてくれる奴とつきあって欲しい。俺みたいな優柔不断な奴じゃなくて。 「おう。ずっと、別れたいと思ってた」 「・・・・・・どうしても?」 ーーーーーーーーっう!? だぁああああ!?なんなの俺!別れたいと言った直後に後悔とか俺は一体何がしたいんだぁ! いや、もう薄々気付いてる。 そう、俺はつまり、結局のところ。 どうしようもなく、クリスが好きなんだ。 「・・・はぁ」 「よう!辛気くせぇ顔してんなぁ?で、お前ら別れるんだって?」 煩ぇジェイダ。 お前こそ何やってんだ副騎士団長殿? お前、部下に手出してんじゃねぇよ。 「そんな顔すんなよ。パリスもなぁ・・・悪気はねぇんだよ。まぁ空気は読めねえ奴だからな。悪かったな」 「・・・別に。それより、明日の討伐クリスもついて行くんだって?」 「なんだよ?気になるのか?別れるんだろ?」 っつーかなんで知ってんだよ!! クリス本当にどこまで話してるんだ?勘弁して欲しい。 「ふ〜ん?お前クリスを振り回すなよ。アイツも意外と要領悪いからなぁ。かなり落ち込んでるぞ?」 「・・・分かってるよ」 だってあんな傷付いた顔されたら、流石に俺でも分かる。 「クリス今どこに居るか知ってるか?」 「明日の準備の為に早めに部屋に帰ったぞ?呼んでやろうか?」 「・・・いや、いい。邪魔したくねぇし」 それに・・・隣で聞き耳立てられても困るからな! ざっけんなよ!俺はお前らの顔もまともに見られねぇよ! 「それに今会ったら多分、アイツを困らせそうだしな」 俺達は騎士だ。 いざとなれば命を賭して陛下をお守りするのが仕事だ。 「そう言うなよ。実は、俺達も少し困っててよ。お前責任感じてるならどうにかして欲しい」 「は?」 「このままだと、クリスが使い物にならない」 えっと・・・え?どう言う事でしょうかジェイダさん?

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