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番外編 学生時代 眠る

「幹人!」 父さんの叫ぶ声 「幹人!走って!」 母さんの叫ぶ声 男が追いかけてくる 逃げなきゃいけないのに体が動かない 男がこっちにくる 男が俺のすぐ後ろに…… 「幹人」 「……っ!!」 目が覚める 「うわっ!……っと幹人起きた? 大丈夫?汗すごいよ」 ……?何で目の前にかなたの顔が……? 意識を手放す前のことを思い出し慌てて離れる 「……悪い」 「大丈夫だよ、抱きつかれてちょっと体痛いけど」 「……俺どれぐらい寝てた」 「一時間くらいだと思うけど……」 「俺ずっとくっついてたのか」 「え?うん 幹人ずっと魘されてたから でもさっきよりも顔色良くなってる」 ……俺、寝てたのか 何日、いや何週間ぶりだ? 少し寝ただけでも頭がスッキリしてる 「まだ下校まで時間あるしもう一回寝る?」 「……いや、いい帰る ……悪い、迷惑かけた」 「別に迷惑じゃないよ ……明日も待ってるから!」 「…………」 それからというもの毎日放課後はかなたにくっつき眠った かなたにくっついているときはよく眠れた 魘されることも少なくなった かなたは文句一つ言わずに側にいてくれる 次第に一人でも眠れるようになった 目の下の隈も色が薄くなっていった ご飯も食べれるようになった (というより食べないとかなたが無理矢理食べさせてくるから) 前のように友達とも喋れるようになった それでもかなたはずっと側にいてくれた かなたが側にいてくれるときは胸が温かくて心地よかった ずっとかなたから離れたくない……

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