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番外編 学生時代 進路

季節はめぐり、冬 あれからもずっと放課後にかなたと話すとこは続いていたが最近は寒くなってきたので教室で話すようになった 誰もいない教室で二人でのんびりと話す 「幹人って大学の受験勉強しなくてもいいの? 周りの受験する人たち追い込みしてたのに」 「あー…俺は家でやってるしそこまで問題はないかな そういえばかなたって卒業後どうするの?」 「おれは卒業したあとすぐに就職予定 今の家は卒業したらすぐに出ていくから…」 かなたが目を伏せて言う 中学時代よりもいい家にいるみたいだけどやっぱり大変なんだな そんなことを思いながら話を続ける 「かなたって何かなりたいものとかあるの?聞いたことないけど」 「おれは小説家になりたい、かな まぁ、それは無謀だし仕事しながら趣味みたいな感じで小説書ければいいかな」 「かなた本読むの好きだもんな …じゃあ就職ってどこにするの?」 「うーん…まだ決まってなくて… とりあえず社宅があるところって感じかな 未成年は一人じゃ借りれないから」 あはは…とかなたが無理矢理笑う そこで俺はふっと思いついた 「じゃあ、俺の家に住めばいいじゃん」 「へっ!?幹人の家!?」 俺はまくしたてるように話す 「俺一人であの家住むのはでかすぎるし誰かと暮らせたらいいなって 部屋使わないのもったいないし つか、かなたたまに来てご飯一緒に食べたりしてるし俺は気にしないし ルームシェアみたいな感じにだろ」 俺はなんでこんなにも必死で話しているんだ そう思っても話すことをやめられない 「それに小説家になりたいなら別にすぐに就職する必要なくね? やってみて芽が出なかったら諦めて就職すればいいし、遅くはないだろ」 「い、いや申し訳ないし幹人に迷惑かけたくないし… 就職しないとお金とかもかかるじゃんか」 「迷惑じゃないし、どっちかというと俺が助かるし 別にお金のことは気にしなくてもいい 遺産が…無駄遣いしなかったら二人でも大丈夫なぐらいある …俺、将来結婚する予定もないし子供とかも作れないし気にしなくていいから」 必死で、必死でかなたを引き止めようと話す 自分でも分からないけどかなたが他の、何処かに行ってほしくなくて話すことを止められない かなたがううん、と難しそうな顔をし、 …少し照れたように顔を赤らめながら 「…幹人がそんなに言うなら えーと…お世話になります?」 「なんで他人行儀なんだよ」 「な、なんか恥ずかしくて、えへへ…」

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