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②
誰だこいつ?
視線が合うと
ニッコリと微笑む男の笑顔が眩し過ぎて、不覚にも男にドキッとさせられる
「っえ、えーと…」
ドアの隙間からとは言え、見れば見るほどイケメン
眼鏡を掛けてようが掛けていまいが、凛々しい顔立ちだとハッキリと分かる
年は20代前半ぐらいか
知り合いでもないそんな男に、どう切り出そうか迷っている俺に聞こえてきたのは
「え?じゃないですよ。馬鹿っぽい顔して本当に馬鹿なんですか?冗談は顔だけに……ああ、でも元からそんな顔だと仕方ないですね。とにかく開けて下さい」
辛辣な言葉の数々だった
「……なっ、な、な、何なんですかあんた、人に対して……あっ!
おおお、俺、お金なんて借りてませんよ?」
「お金ですか?くくっ、安心して下さい。
取立て屋では無いですし、もし仮にもそうだとしたら返事聞かずに勝手に開けてます」
「じゃ、じゃじゃじゃ、ししし、新聞なら間に合ってますから、帰って下さい!!」
「だから、勧誘でもありませんよ。それにしても取立て屋にしろ勧誘にしろ、低脳な考えしか浮かばないなんて可哀想な人ですね。
それよりも、私はここを……」
「ひっ!」
ドアがメキメキと軋み上げる
チェーンからも金属が擦り合う耳障りな音が聞こえ始め
その音の出どころは男の掴んでいる部分から
近所迷惑なんてなんのその
頑丈な扉が有り得ない音を立てて
終いには
「開けて下さいと言ったんです!」
「ひ、ひぃいいい!」
ドアチェーンが素手で引き千切れるのを初めて見ました
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