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③
「なー~ーっ!!」
扉がキィーと、音を立ててゆっくりと開いていく
身を守っていた扉はすでに無くって
手を伸ばせば届く距離に男が佇んでいる
デカい…
見た感じ俺の頭一つ分ぐらい背が高いスラリとした体型の男
姿勢がやたらめったら良くて、男の醸し出す雰囲気といい、ドラマでしか観た事はないけれど執事と言われれば頷きそうになる
「お、おぉおおまっ…お前!」
「あぁ、すいません。ちょっと力を入れたら壊れてしまいました。それにしても、くくっ…簡単に壊れるようなカギが付いている所に、よく住めますね。住めば都ですか?そうは言っても酷過ぎ……それはさて置き、扉も開いた事ですし……
上がらせて頂きます」
「お、おいちょっ!」
さっきも感じた
気のせいかもと、思ったけど…
(コイツ、失礼極まりねぇ!!)
俺を押しのけて部屋にズカズカ上がり込んでいくその態度に
ブッチン!!
と、血管がキレた
「な、何くつろいでるんだあんた!つーか、誰だよお前っ。人ん家勝手に入って、非常識だっつー…」
「茶」
「へ?」
「茶は無いのかと聞いたんですが?茶菓子まで出せとは言いませんよ。この様なボロアパートに住むあなたに茶菓子まで求めませんから。どうせ無いんでしょう?
でも、汚い部屋でもお茶ぐらいは……もしかして無いんですか?」
「お、おまっ!お茶ぐらいあるよ!」
「それは良かった。では是非、玉露でお願いします。さぁ、早くして下さい。何ボケっと立ち尽くしているんですか?ふっ……本当に言葉が通じているのかも怪しいですね」
「……」
怒りが度を超えると、怒ればいいのか悲しめばいいのか、どうすればいいか
分からなくなるらしい
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