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⑤
恩返しをしに来た男に、床に押さえつけられて…
「って、どんな状況だよ、オイッ!ま、ま、待て、俺、お前に恩返ししてもらう様な事なんかしてねぇ!」
「自分の取った行動も忘れて、すでに健忘症ですか?顔もイマイチ、頭も悪くてその上、若年性健忘症を発症してるなら、人としてどうなのかと」
「一言一言が多いいんだよ!」
「貴方が思い出さないからです。この近くの公園で、私は貴方からパンを頂きました」
「へ?ぱぱぱっ、パン…?」
なに言ってんだ?
こんな奴にパンなんかやってないうえ、ましてや初対面
「本当、貴方の頭の悪さに嫌気がさしますね。
私が気持ち良く睡眠を取っていたのに無理やり起こし、挙げ句の果てに食べたくもないパンを口に入れられて、終いには頭を力いっぱい撫でられれば、あなたのその平凡な顔でもハッキリ記憶出来ましたけど?」
「俺、んな事してねー!」
「たった30分ほど前ですよ?思い出して下さい。公園で黒い動物にパンをあげませんでした?コンビニの安いパンを」
公園?
パン?
黒い………動物に?
そういや俺、コンビニ寄ったあと通り道の公園で…
「あぁ〜犬にあげたな~真っ黒の犬に!モコモコして可愛くてさ~」
「まったく犬と狼の違いも分からないなんて、どこまで知識が乏しいんですか?私のどこを見て犬と勘違いしたのか教えて欲しいものですね」
「…………ん?え?」
「事実は小説よりも奇なりですよ、安部 玲二(あべ れいじ)さん。
初めまして、私は人狼のニキと申します。恩を仇で返しに来ました」
「ふぇ!?恩返……あ、仇で?」
「まぁ、あれを恩と言えるかどうか安くちっぽけな物でしたが、人から施しを貰ったなら返さないといけないのが私たちの習わし。私が不快に感じたとしても……なので、こうする事にしました。略せば 『恩返し』ですよね?」
「いっ!!」
意味がまったく違う
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