5 / 28

恩返しをしに来た男に、床に押さえつけられて… 「って、どんな状況だよ、オイッ!ま、ま、待て、俺、お前に恩返ししてもらう様な事なんかしてねぇ!」 「自分の取った行動も忘れて、すでに健忘症ですか?顔もイマイチ、頭も悪くてその上、若年性健忘症を発症してるなら、人としてどうなのかと」 「一言一言が多いいんだよ!」 「貴方が思い出さないからです。この近くの公園で、私は貴方からパンを頂きました」 「へ?ぱぱぱっ、パン…?」 なに言ってんだ? こんな奴にパンなんかやってないうえ、ましてや初対面 「本当、貴方の頭の悪さに嫌気がさしますね。 私が気持ち良く睡眠を取っていたのに無理やり起こし、挙げ句の果てに食べたくもないパンを口に入れられて、終いには頭を力いっぱい撫でられれば、あなたのその平凡な顔でもハッキリ記憶出来ましたけど?」 「俺、んな事してねー!」 「たった30分ほど前ですよ?思い出して下さい。公園で黒い動物にパンをあげませんでした?コンビニの安いパンを」 公園? パン? 黒い………動物に? そういや俺、コンビニ寄ったあと通り道の公園で… 「あぁ〜犬にあげたな~真っ黒の犬に!モコモコして可愛くてさ~」 「まったく犬と狼の違いも分からないなんて、どこまで知識が乏しいんですか?私のどこを見て犬と勘違いしたのか教えて欲しいものですね」 「…………ん?え?」 「事実は小説よりも奇なりですよ、安部 玲二(あべ れいじ)さん。 初めまして、私は人狼のニキと申します。恩を仇で返しに来ました」 「ふぇ!?恩返……あ、仇で?」 「まぁ、あれを恩と言えるかどうか安くちっぽけな物でしたが、人から施しを貰ったなら返さないといけないのが私たちの習わし。私が不快に感じたとしても……なので、こうする事にしました。略せば 『恩返し』ですよね?」 「いっ!!」 意味がまったく違う

ともだちにシェアしよう!