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かわいいふくをきせてみよう。1/3

「うー………いだだだ」 「遼ちゃんっ! 遼ちゃん大丈夫?」  ───あぁ、これは夢だ、きっと悪夢だ、そうだったんだ、と言い聞かせていても、上からその悪夢の根源である声が降り注がれる。 「遼ちゃん起きた? よかったぁ」  ゆっくり目を開ければ、ミオが心配そうに俺の顔を覗き込んでいた…………セーラー服姿で。 「っ! おまっ、なんでそんなカッコっ………!」 「だって遼ちゃん、箱に入ってる服を着ろって言ったから………これ、僕のじゃなかったの?」 「い、いや、確かにオマエのために買った服だけど………」  うぅ、くっそぅ………こんなカッコされるとやっぱり女の子にしか見えない。 「でもね、…………」  ミオはそう言うと、仰向けで寝転んでいる俺の目の前でスカートをまくって見せてきて。 「い゙゙っ………!」 「パンツはね、なに履いていいかわかんなくてね、脱いだきりまだ履いてないの」  超至近距離でスカートの中からイチモツがコンニチハ………俺は再び気を失いそうになる。 「こっ、これが、えむさいず………」 「やだ遼ちゃん、いつまでもそんなとこじっと見ないでv」 「バカッ! 先に見せてきたのはオマエだろがっっ」  くらくらしながら俺は起き上がり、ソファに座り直す。どうやらミオがこのソファのあるリビングまで運んでくれたらしい。  着衣は乱れてたけど引きずって運んだためであって、何かされた形跡もなく一応安心する。  そして、床にはまだ割れたカップの破片が片付けられてないまま残っていて、それを見た俺は、なぜかわからないけどそこんとこでも少しホッとした。 「オマエ、あれ片付けなかったんだな」 「え? あれ? うん、ああいうのは僕、近付けないようになってるから」 「近付けないように?」 「うん、僕の『プロフィール』に書いてある………」  プロフィール、といってミオが手に取って見せたのが取扱説明書。 「ふーん………あぁ、この『危機感知センサー』ってやつか?」  熱いもの、例えばコンロの火だったり熱湯だったり、極端に暑かったり寒かったりするところ、風呂以外の膝を超える水のあるところ、足場の悪い高い場所、ケガの恐れのある刃物や尖った物、行動の読めない子供や動物など、そういったものをあらかじめ察知したり、発見した時に回避したり、近寄らないように行動するようになっているらしい。  きちんと教えたり持ち主が安全性を示せば多少行動にも影響されるともある。  てゆか、セクサロイドってそんなあちこち持ち歩くものだっけ? ………あ、恋人みたいに連れ歩いてデートとかするってたまにブログで見かけるな。 「なるほど~、やっぱよくできてんだな。……………」 「うん。……………」  感心して読んでいる俺に、ミオはピッタリくっついて取説を覗き込んでいる。  その姿を改めて横目でジッと見てみる。  まず全裸の段階から気になったのは、余りあるくらいの細長い手足。小鹿みたいな感じだ。  顔もそんな感じの黒目がちな瞳。長い睫毛。  笑うとふわりと柔らかく崩れる表情、そこから見える整った歯並び、ふっくらとした口唇。少しかすれた、ソフトな声。  さらに何より、造形職人が腕によりをかけたであろう、完璧な腰のくびれとそのライン。  そしてスカートの中から見えたMサイズのイチモツ………まさに、なんでソコでソレやねん!(裏手)である。  ふと、ミオがやっと視線に気付いてこっちを見る。そして、口元だけを緩めて首をかしげて見つめ返してくる。  やばいっ、思いっきりロックオンされてる………当たり前だけど。 「あっ、あのさぁ!」 「なに遼ちゃん?」  軽くのけぞるが、同じ距離感を保つかのように顔だけを寄せてくる。 「あ、あの………じゃあ俺、片付けたいから」 「うん」 「えーと、だから……と、とりあえずパンツ履いてもらって………」 「パンツ? どこ?」 「あそこの引き出しに新しいのがあるから、好きなの選べばいいよ」 「好きなの? ………んー………」  ミオは引き出しに近付き、俺のおニューのパンツをいくつか取り出す。 「ねぇねぇ遼ちゃん」 「なんだよ」 「パンツどれがいい?」  やがて振り向いていくつかの新品を手に持って俺に見せる。 「はぁ? んなのどれでもいいだろ?」 「やだっ、ちゃんと遼ちゃんが選んだの履きたいのっ!」 「…………………」  セーラー服着てノーパンで男物パンツ持ってなに言ってんだコイツは(くらくら)。 「そ、その右のでいいよ、右ので」 「これ?」 「俺から見たら左だろそっちは。まぁいいよ、それで」 「うん! ありがとう遼ちゃんv」  うれしそうに笑うと立ったまま背を向け、新品でピッタリ張り付いたパンツに片足を突っ込もうとする。 「ちょ、オマエ一旦広げたりしないと………!」 「えっ、なに遼ちゃ、あっ!」  ドスン!  ………声なんてかけるんじゃなかった。  俺の声に振り向いたミオは、片足を上げパンツをつま先に引っ掛けたままひっくり返る。  俺の目の前でM字開脚、スカートの中身はMサイズの以下略。 「オーマーエー………隠せよ見えてんだよっっ!」 「えー? 何が?」 「ナニがだよっ! もういいからさっさと履けっ!」 「遼ちゃん、そんなに怒んないでよ………」  しょげながら座った姿勢でやっとパンツを履き終える。  ったく、危機感知なんてアテになんねーじゃねぇかよ(泣)。

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