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いっしょにりょうりをしてみよう。1/3

 ごぶごぶごぶごぶ………… 「…………………」  朝。  豆乳片手に新聞を読んでる俺をよそに、ミオは目の前で、一緒に付いてた二リットルサイズのボトルに水を入れてそれを飲んでいる。  機能の中で必要な水分をこうやって補っているというのだ。  涙とか口の中の湿り気とか、なんかそういうことらしい。  で、使う頻度が少なくてもそのままでは衛生面もあるから、一定時間がすぎればトイレに行って下から排出する仕組み。ある人がふざけてジュース飲ませたら口臭がえらいことになったってのを読んで笑ったっけな。  ………しかしまぁ、もう少し色気のある飲み方はないだろうか。あれじゃまるで哺乳瓶で一生懸命にミルクを飲んでる赤ちゃんである。  ………まぁ別に、男がやってることだからいっか。  ぼんやり見ているとミオがこっちに気付き、ボトルから口を離していつものように少し首をかしげてにっこりと笑う。  微笑まれた俺の方はちょっと恥ずかしくて思わず目をそらしてしまう。 「ミオ、」 「なに遼ちゃん?」 「んじゃ、俺これから仕事行ってくるから」 「うん、いってらっしゃい遼ちゃんv」  ミオが玄関まで追いかけてくる。  起きて、ちょっと新聞読んで家を出るだけだから別に夜から寝かせたまま行っちゃえばいいんだけど。  うん、まぁ、なんとなく起こしてしまった。 「やっぱ一人じゃあれだし、仕事行ってる間は寝ててもらうから」 「うんわかった、大丈夫」 「じゃ、オマエはもう」 「あ! 待って遼ちゃんっ」 「、なんだよ」 「その前に………v」  俺の言葉を止めて、ミオは少しあごを上げて目を閉じる。  朝っぱらからなに誘ってやがんだコイツはっっ。 「………あーもう、ホラ、」  仕方なく、思いつきでキス代わりに人差し指をミオの口唇にちょんと当てる。 それでもミオはうれしそうに微笑む。 「ありがとう遼ちゃん、行ってらっしゃい」 「んじゃな、オマエはもう寝ろ」 「うん、おやすみ遼ちゃん」  微笑んだままミオが目を小さく伏せ、背中を向けたのを見届けて部屋を出る。  「いってらっしゃい」と言ってもらいがためにわざわざ起こしたんだろな俺、とか自分ツッコミしたら、一人でまた顔が赤くなってしまう。  赤くなりつつ、朝の会話にしてはさっきのはちょっと不自然だったかな、とふと思う。  んー、どうせなら「寝ろ」以外にも「行ってくる」も寝かせるキーワードにしようかな。さすがに「行ってきます」っていうのは妙に照れくさい。  でも「行ってくる」ってトイレでも風呂でも使う言葉だしそのたび寝られちゃ困るし。  ………あぁ、「行ってくる」って言いながら、さっきみたいに口唇に指を当ててやればいいのかもしんない。  で、アイツも「おやすみ」じゃなくて「行ってらっしゃい」でスリープモードに入ってもらって。  そうそう、それなら帰ってきてからの時も考えてやらないとな。まぁこっちは「帰ったぞ」で起こして「おかえり」で大丈夫かな。  「おかえり」っていうか、「おかえり、遼ちゃんv」ってアイツが笑って───  って、朝からなにお妄想してんだ俺わ新婚さんかよっ!(ド赤面)  とりあえず同じミスで届いた人がいたのもわかったし、それなりの接し方も………なんとなく教えてもらえた気がするし。  お礼を書いたらやっぱり一部のヤツらに次の写真のアップ希望とかされたけど、ほとんどの人はアドバイスも兼ねた励ましだったりでよかったなと思ったり。  何人かの人が気にしてくれて、SNSのアドレスも教えてくれた。  やっぱ仲間が増えるってのはうれしいことなんだろうなぁ………てことはやっぱ俺、そっちの道に行っちゃうってことなのだろうか。  いやいやっっ! 今はそういうことを考えるのはやめておこう。  ほぼ従順なのはわかったから、まずは少しずつ自分の生活に合わせてやればいい。  言うこと聞かないヤツだったら手を焼いただろうけど、その辺は上手いこと誘導させられそうだし。  まぁ、たまにくらくらするような言動はしてくるけど。  いや、本来はそういうためのアンドロイドなんだから当然なんだよな。  その辺は考えないようにしてても………どうしよう。  説得、できるのかなぁ。

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