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いっしょにりょうりをしてみよう。2/3

「おいミオ、起きろ」 「…………遼ちゃん、おはよう」 「うん、今帰ったから………」 「あ………おかえり遼ちゃんv」  うん、やっぱり微妙に不自然。 「あのさ、」 「なに遼ちゃん?」 「起きてもらう時のキーワード、普段は『起きろ』だけど、こうやって帰って来た時は『帰ったぞ』って言ってやるから」 「じゃ、僕はその時『おかえりなさい』でいいの?」 「そう、そういうこと」 「………うん、わかった」 「あ、それと寝る時のキーワードもなんだけど………」  目を見て(これはやっぱり基本)、一通り説明する。  わかったみたいなので、一息ついてスーツを脱ぎネクタイをほどく。  それを、ミオは相変わらずじっと見つめている。 「ねぇ遼ちゃん、」 「なんだよ」 「僕も脱いじゃっていいの?」 「っ、オマエは脱がなくていいのっ!」  パジャマのボタンに手をかけかけたミオを慌てて怒鳴って止めると、やっぱりしょげられる。 「ごめん………怒んないで?」 「いや、別に怒ってるわけじゃねーけど………」  なんて言い方してやればいいかわかんないだけ。 「し、仕事ある日はあとメシ食って寝るだけだし、いつもこうなんだよ」  俺はそそくさとキッチンへ向かう。もちろんミオもついてくる。  そして、中には入らず立ち止まってじっと俺を見る。 「ん? オマエ入ってこないの………、あぁ、そっか」  入ってこないんじゃなくて、入れないのか。刃物や火はダメなんだっけ。 「………そこでずっと突っ立ってるのか?」 「ダメ? 遼ちゃん」 「いや、オマエが立ちっぱじゃしんどいんじゃないかと思っただけ」 「ううん、僕は平気」 「あーそう………まぁ、そこでじっとしてろよ」 「うん、ありがとう」 「べ、別に礼を言われるようなことは言ってねーけど………」  またにっこりされて、俺は戸惑いつつ一人キッチンに立つ。  そういえばコイツが来る前、二人でキッチンに並んでお料理、なんてのを楽しく妄想したっけかな(もちろん女の子タイプの方で)。  ハウスロイドも兼ねたやつも売ってたけどアレは倍近くの値段だったし。  てことはキッチンですることは出来ないのか………ってまた変なこと考えてるし。  いや、安全性を俺が示せば………ってだからいちいちンなこと考えてんじゃねーよ俺!  とりあえず今日はまだ時間もあるし明日も食えるようにカレーを作っておこう。必要な野菜を出して適当に切っていく。  そしてそれをミオはじっと見つめている(気配でわかる)。 「遼ちゃん、」 「なんだよ」 「なんかカッコイイv」 「あ? ただ切ってるだけだろ」 「でも僕そういうの初めて見るし………」 「あー、そうだっけ?」 「もっとやって遼ちゃんv」 「ったく、やっぱ変な奴だなオマエ」  といいつつ、少しだけ気分がよくなった俺はザクザクと玉ねぎを切り刻む。 「ほら、これはみじん切りって言うんだぞ?」 「すごい! すごいね遼ちゃん!!」 「まぁ、これくらいなら朝飯ま、ッタ!」  ………調子に乗ってトコトコやってたら、うっかり包丁が指に当たってしまった。 「あーあ、いってー………(沈)」 「遼ちゃん? どうしたの遼ちゃん大丈夫っっ!?」  と、ミオがこっちにいきなりやって来た。 「オマッ、オマエこっち来れないんじゃ」 「遼ちゃん、遼ちゃん血が出てる、大丈夫?」  俺の言葉は一切聞かず、ただただおろおろと俺の指先を見つめている。 「あの………ミオ、」 「なに遼ちゃん? 痛い? 痛いの?」 「いや大丈夫だからっっ、………これくらいなら舐めときゃ止まるし」 「舐める? 僕が舐めていいの?」 「っ、ちげぇよっっ!」  思わず指先を後ろに回す。 「遼ちゃんごめん、おこ」 「別に怒ってんじゃねーよ、そんなに心配しなくてもいいつってんだよ」 「うん………」 「じゃ、じゃあついでだからオマエも手伝えよ、ここは安全だから」 「うん!」  あれ? 「…………………」 「? ………どうしたの遼ちゃん?」 「えっ? い、いや、なんでもない…………」  一瞬、違和感を覚えたけど、その時はまだそれがなんだったのかはわからなかった。

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