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いっしょにりょうりをしてみよう。3/3

「じゃ、俺が野菜切って、オマエはこの鍋にぽんぽん入れてけばいいから」 「うん」  手伝えとは言ったものの、野菜を切る包丁もそれを炒める鍋も危ない。  そんな危険だらけのキッチンに突然入ってくるようなコイツのことだから、ホントに何をしでかすかわからない。 「ねぇ遼ちゃん、」 「なんだよ」 「その、今切ってたのは何?」 「あぁ、玉ねぎ」 「こっちのは?」 「じゃがいも」 「これは?」 「にんじん」 「にんじん、これ色がきれいだね………あ、硬いねー、硬いよ遼ちゃんv」  そう言ってミオは、にんじん丸ごとを手に取ってうれしそうに眺めている。  両手で棒状のものを握って硬い硬いと嬉しそうに上から下から………… 「って、ナニ妄想させんだよオマエはっっ!」 「えっ? なに遼ちゃん?」  慌てて取り上げるとミオがきょとんとする。 「い、いやまだ洗ってなくて汚いから触るなって意味で………いや、あの変な意味じゃなくてっっ!」  って、何も変な意味なんてないのにますます焦る。 「遼ちゃん?」 「あ、いや、だからオマエは切ったきれいな野菜を入れてもらう係だからわかるだろ?」 「うん。………怒ってないの?」 「ん? だから怒ってねーよ」  はぁ、なんで俺はこんなヤツ相手にすぐこういう回路に行っちまうんだろ。  できる範囲のことを任せてなんとか出来上がってテーブルに持っていく。ミオは向かい側に座って食べようとする俺を今か今かと待ち望むように見つめる。  あぁもう、ホントにやりにくいなぁ。  この勢いだとコイツのことだから、それから「食べさせて」とか言い出すんじゃないだろうか。  さらにメシ食ったら風呂入るし、そしたら一緒に入りたがるんじゃないだろうか。  ………ダメだ、濃すぎる。あまりにもその関係は濃すぎる。  絶対イヤだ、ってわけじゃないけどさすがにまだそこまで乗り気にはなれない。 「ミオ、」 「なに遼ちゃん?」 「お、オマエも手伝ってくれたし疲れただろ?」 「ううん、だいじょ」 「いや、明日もあるし………あの、明日も今日みたいに起こしてやるから」 「うん。………遼ちゃん、」 「な、なに?」 「やっぱり遼ちゃんは優しいね」  また、違和感。 「あ、ありがとう、うん、だから今日はもう寝ろ」 「うん………おやすみ、遼ちゃん」  やっと寝てもらいホッとするが、さっきの違和感だけが拭えない。  今「おやすみ」って言った時は別に何も感じなかったんだけど。  いつも通り少し微笑んで目を伏せ………  ───え?  ハッとした俺は慌ててパソコンを引き寄せ立ち上げ、昨日撮って落としたミオの写真を見る。  まさか。  ソファに座り、名前を呼ばれて笑顔で返事してる写真。  そして、壁に手をついてこっちを見てる写真。  これは笑ってない方がいいと思い、あえてカメラを自分の顔に重ねて撮ったものだ。  やっぱり。  アイツ、俺の顔見ても笑わなくなった………のか?

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