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ふたりのやくそくをつくってみよう。1/5

「ミオ………帰ったぞ」 「…………おかえり、遼ちゃんv」  その顔を見て俺はホッとする。  …………あれから三日間、出かける時だけ起こし、夜は寝かせたままでまた朝だけ起こす生活をしてしまった。  どうすればいいのか、わかんなくて。  起こした時は目覚めて毎日笑ってくれるし、もちろん笑顔で送ってくれるし、キス代わりの口唇に指を当てるだけの行為でもミオは嬉しそうに微笑む。  でも、間違いなくコイツの中で小さな「変化」が起こっている。  そしてその原因も間違いなく俺自身ということも明白だ。  今のままではその表情も変わらないだろうし、何も変わらなければきっと、コイツの笑顔はどんどん消えていくかもしれない。 「ご、ごめんな」 「え? 何が?」 「いや、ここ最近、夜に起こしてやること出来なくて………」 「えっ? いいよそんなのっ。僕平気、遼ちゃんが謝ることじゃないよ」  不安げに泣きそうな顔で俺を見る。  いつかこの顔ばかりになってしまったらどうしようと、ふと思ってしまう。  いずれにしても何らかの形で、きちんと説明しなきゃいけない時が迫って来ている。  未だになんて言えばいいのかやっぱりわからないんだけど。 でもなんとかしなくちゃいけない。  よし、このままじゃいけない、考えるんだ俺!  コイツのパターンはだいたいわかってきてるんだ。だから出来ないことはないっ!  今日は外でメシを食ってきたし、あとは風呂に入って寝るだけ。  いつもなら風呂に入る前に寝かせるけど………よし、あえて今日はそれをやめよう。  仮に誘われても事を荒げず大声も出さず、やんわりと断ればいいだけだ。  そこから始めればいい。  『今日は疲れてるからまた今度な(爽)』………うん、優しくそう言ってやればいい。 「ねぇ遼ちゃん」 「ん? どうしたミオ? (にっこり)」 「ゴハンはいいの?」 「あぁ、もう外で済ませたから。あと『風呂』入って寝るだけだし」 「お風呂?」  ミオが期待に満ち満ちた目になる。  おっ、来るか? まさに予定通りの展開。 「遼ちゃんお風呂入るの? ねぇ、遼ちゃん、遼ちゃん………」 「ん? なに? (ニコニコ)」 「僕も………『たまには』お風呂に入りたい。遼ちゃんと一緒に」 「な゙………っ!」  こっ、この野郎っっ………!  「たまにはお風呂入りたい」なんて言い方をされたら、まるで育児放棄してる親みてぇじゃねーかよ………チクショウ上手く言葉を組み立てやがって。 「あ………あ、いや、それは………」 「ねぇ遼ちゃん、ダメ?」  そしてこのおねだり顔だ。ここまできたらもう抗えない。 「………わ、わかったよ、風呂だろ? じゃ、来いよ」 「ありがとう遼ちゃん!」 「待てっ! 入るだけだぞ! 湯船につかるだけだからなっっ!」 「わかってるよぉ」  結局、怒鳴ってしまった。なにやってんだか俺。  とりあえず先に湯船に入ってもらって、俺は脱衣所で一人服を脱ぐ。  ───ああやって止めれば従順、なんだけど。  やっぱり不満とかそのうち溜まってくんじゃないかとかつい思ってしまう。  でもアイツは元は機械だし………あぁ、なんかそういうことも考えたくないなぁ。  ホントに、どうすればいいんだろ。

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