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おあずけぷろぐらむ 3/6

「おいミオ………帰ったぞ」 「………あ、遼ちゃんおかえりー」  帰ってきて声をかけると、やっぱりさっぱりとした顔で目を覚ます。  そしてぼんやり、という感じでソファに座りなおす。  一瞬淋しいなと思い、そしてそう思った自分に少しイラッとする。 「んじゃ、俺、風呂入ってくるから」  なのにわざわざこんなこと言ってしまう。  そして、 「うん、わかった」  そう答えるミオの態度にまた少し、イラッとする。  昨日までどう断ろうか悩みまくって、一言一言に翻弄されて、それが今じゃこの有様。 「遼ちゃん、なんか怒ってるの?」 「あ? 別に怒ってねーよ」  それでも一応は俺の言動を見つめているらしい。が、やはり昨日までとは違うミオの言葉に俺はふてくされつつ一人で浴室へ行った。  風呂に一人で入っても、いろいろと思い出してしまう。  あぁ、そういえばほんの少しアイツに気持ちを動かされたのも最初は風呂場だっけかな。  俺が初日からこぼしたコーヒーでアイツの手首を汚してしまったあの事件だ。  それから、服を着せて写真を撮り、ネットデビュー(?)も果たし、おそろいのパジャマを着せ、一緒に料理して、一緒に風呂入れるまでの関係になって。  その風呂場でいい雰囲気になったのに、すんでのところで俺はまた及び腰になって………いや、あの時は仮にする方向になっていても、アイツの時間切れがあったからどっちにしても結局、昨日、風呂場では出来なかったことになる。  ───いま思えばそっちの意味でダメになっていた方が良かった。  そんな風に思えてやれてるのにどうして決定的な、大事なことはしてやれないんだろう。  自分でもあれこれイイワケつけてるんだけだって頭ではわかってるのに。  重い気分で風呂を出てリビングに戻るとソファに座ったままのミオはローテーブルの上のパソコンをじっと見ていた。  あ、もしかしたらフェネックさんからの返事かも。  どうやらミオはそのメール受信のランプの点滅が気になっているらしい。そして俺がリビングに来たことに気付くと、こっちを向いてじっと見つめる。  さっそく開いて見ようと思うも、隣のミオの視線が気になる。  昨日までなら緊張でどぎまぎしてたけど、今はそれが煩わしくてしょうがない。  こいつに怒ってるわけじゃない、わかってるのに。 「遼ちゃん、」 「ん? なんだよ?」  思わず見つめ返すと、ミオが口を開いた。 「………僕はここで何すればいいの?」 「っ、」  きょとん、と微笑みもせずに言うその言葉に俺はカッとなった。 「うるせぇよ、オマエは一人でもう寝ろ!」  つい怒鳴りつけ、俺はパソコンを手にバタン! と寝室の方へ一人閉じこもってしまった。  ベッドの上に座り、膝にパソコンを乗せ、俺は溜息をつく。  あーーもう、一体どうすりゃいいんだ………俺は頭をガシガシ掻いてうなだれる。  なんでこんなにイライラしてんだ、俺。  もともとは俺のミスで発動させたプログラムなのに、まるで変わったミオの態度に戸惑って、………自分の気持ちに戸惑って。  アイツを抱けると思ったのだって、誰のせいでもない、俺自身の感情がそうさせただけなのに。  肝心な時に肝心なことが言えない、出来ないなんて、俺はずっと、こんなことを繰り返すつもりなのだろうか。  ………ずっと、一緒にいたいと思っているのに。  自己嫌悪に落ち込みながら、一人ベッドの上でパソコンのメールを開く。  やっぱり、フェネックさんからのメールだった。

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