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おつきみぱらだいす 1/2
早上がりの仕事を終え、家でくつろいでいると宅配便が届いた。
何か注文したっけ………と思いつつその箱に書いてあるラベルを見てがっくりと崩れ落ちる。
「どうしたの遼ちゃん?」
その箱を持ってふらふらとリビングに戻る。
『オーダーが殺到したため商品のお届けが遅くなり大変申し訳ございません』
と書かれた紙と一緒に入っていたのは、紺色の浴衣。
そう、ミオがうちに来る前(もちろん女の子タイプが届くと信じていた頃)、オーダーメイドの女の子用浴衣を注文していたのだ。
ミオがうちに来てからのゴタゴタで、すっかり忘れていた。
柄を選んで色を選んでサイズも指定して、文字通りのオーダーメイド。
当然ながら結構な値段(前払い)で返品も不可、今さらコレをどうしろっつんだっ(泣)。
こうなったら、お約束のオークション売り飛ばし作戦でいくしかない。
……………が、
「ミ、ミオ、」
「なに遼ちゃん?」
「コレ、………着てみるか?」
「え? 僕が着ていいの?」
「うん、まぁ………うん、」
嗚呼、なぜコレを着たコイツを見てみたい、という誘惑に負けてしまうのか。
中にはちゃんと「浴衣の着方」の説明のパンフもついていて、発送が遅くなったおわびなのか共布で作った花の形をした大振りな髪飾りも入っている。
さっそく裸になったミオに手順通りに着付けてみる。ややツンツルテン気味だが紺色の布地に深みのある赤い帯、なかなか趣がある。
それはいいが、んー、せっかくの浴衣だしなんかもっと変化が欲しいな………お、そうだ。
俺は思い立ってミオがうちに来たときに入ってた箱を探る。
「ミオ、」
「なに遼ちゃん?」
「髪の毛、こっちのこれに変えられるか?」
差し出したのは、ゆるパーマのショートウィッグ(色:ブラウン&ゴールドミックス)。
「うんいいよ。じゃつけてくるね」
「あ! ちょっと待った!」
「なに遼ちゃん?」
「ついでだからこれもつけて来い」
「なにこれ?」
「髪飾りだよ。ウィッグのあとに、この辺にパチッと留めればいいから………」
「うん、わかった」
仕組みはわからないが本人でウィッグを交換できるようだ。
左こめかみ上辺りを指して髪飾りをつける場所を指定すると、ウィッグと髪飾りを受け取ったミオはパタパタと鏡のある洗面台に走っていく。
せっかく着付けたし、二人並んでベランダで月見ってのも悪くないかもしんない………俺もタンスの奥を探って甚平を引っ張り出して着てみる。
「お待たせ、遼ちゃんv」
背後の声に振り返ると、浴衣姿に花の髪飾りをつけたゆるパーマのミオが嬉しそうにゆるく微笑んでこっちにやってくる。
「お………おまっ………」
「どう遼ちゃん? これで大丈夫?」
やべぇ………かっ、かかかかかわっ……………かわわ…………
「ミオぉぉぉぉーーーーっっ!!」
「やン、りょおちゃぁぁぁ~~~んv」
せっかく着付けてやったのに。自分もちゃんと着替えたのに。
気がついたら目の前のミオを押し倒し、一発ぶっ放してしまっていた。
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