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転生者

「さきちゃん、よく言った。  私もさきちゃんを好きになって良かったよ。  悔しいけど、殿下を頼むね」 トルクはそう言うと、僕をレオハルトの元へ送り出してくれた。 花嫁のヴァージンロードみたいに、レオハルトの待つその場所へ歩いて行く。 黄金の獅子王レオハルト、僕の旦那様、そう思うと嬉しくて逸る心を抑えて歩いた。 本当は駆け出してあの広くて厚い胸に飛び込んでしまいたかったけど、ぐっと我慢した。 待っていてくれたレオハルトが、隣に立つより早く僕を抱き寄せたことで、周りから笑いが漏れた。 「すでに獅子王の称号を持つ息子レオハルトよ、伴侶を抱きたいのは分かるがもう少し待ちなさい。」 国王の一言で更に、笑いがあがった。 「ここに、レオハルトを国王として即位させる。   意義のある者は前へ。  そして、その伴侶としてさきを迎え入れ、生涯の安寧を願う者なり」 足が踏み鳴らされ、意義が無いことを告げた。 さすが男しかいない獣人の国だ。 ワイルドだなぁなんて呑気に思ってた。 「伴侶が伴侶たる意味を示せ」 え。伴侶たる意味って…。 「さき、誓いの言葉でもなんでもいいんだよ」 そうか、なら。 「ステータス 可視化」 集まった皆にも見えるように、僕のステータスを映した。 さっき取得したばっかりの称号を見せるために。 種族 特殊属豚科人〔成体〕 称号 獅子王の伴侶    世界を穿つ者    王母    比翼連理  Lv.  75 HP  8500 MP  18000 スキル 暴食 愛玩 蹄の渾身一撃 痛覚耐性 衝撃耐性 水耐性 嗅覚 言語理解 苦痛耐性、心理耐性 格闘 怒りの鉄槌 風牙 愛を貫く者〔愛に殉ずる者〕 特殊スキル 羽化 ゆびきりげんまん え、あれ、なんか属性が変わってる。 豚科ってなんだよ!! 将来デブまっしぐら見たいなのやめて~!!! 比翼連理を見せたかったのに、その上にある、王母って何?!! 僕のステータスを見て、レオハルトも出した。 種族 獣人〔成体〕 称号 世界の統治者 獅子王    王父    比翼連理 Lv.  999 HP  999999 MP  999999 スキル 焔の申し子 裁定者 神に選ばれし者 全属性耐性 絶倫 特殊スキル 捕食者 愛に殉ずる者〔愛を貫く者の庇護下〕 二人ともに、称号がついていた。 ”比翼連理” 「私、咲季は、この比翼連理をもって、獅子王レオハルトの伴侶を宣言いたします!!」 「私獅子王レオハルトは、この比翼連理を持って、さきを伴侶と宣言いたします!!」 その時、不思議と誰かからおめでとうと聞こえた気がした。 もしかしたら、神様だったのかもしれないな。 足を踏み鳴らし、祝福をもらってその場は無事に終わった。 終わったはずだったのに、レオハルトが噛みつくようにキスをしてきて、危うくその場でおっぱじめそうになった。 「息子よ、それは夜部屋でしなさい。」 こんな事恥ずかしくて死ねるわ!!! ドッと笑いが起こった。 伴侶として認められて、更に僕のステータスも周知されて、意外と色々高い事が分かった。 レベルも本当はこんなに簡単に上がったりしないと言う事も分かった。 そして何よりスキルの数が半端ないと。 確かにレオハルトですら片手くらいの数だった。 魔法省の人たちに言わせると、種族が変わるのもおかしいらしい。 「でも、僕、異世界からの転生者なので、それもアリなのかって思ってました」 「えぇ!!!  転生者ですか?  召喚者じゃなく?」 「勇者候補だった山際が本当に召喚者だったんですけど  僕はその召喚で山際に殺されちゃったので、  この世界に神様が、取り敢えず転生させて、ポイってされたんですよ。  それが、子豚でした。」 「あ、いや、転生者だと知っていたら…」 「何かあるんですか?」 「鑑定の意味が無いです。  他の者は殆ど変わりませんが  転生者は、無尽蔵にスキルや称号を得ることが出来るので、  世界をどうにでも出来ると言われています。  ただ、今まで転生者は一人しかいませんでしたので  その記録もどこまでが本当なのか分かりませんが…」 「えっと、世界を穿つものってそれ系って事なんでしょうか?」 「ひ~っ、そんな称号があるんですか?!」 あ、これダメなやつ? 「大丈夫ですよ、変な事には使いません!  そんな事かも分かってないんですし、  この国とレオハルトの為にしか生きませんから!」 ガクガクしてる魔法省の人に、大丈夫と言って宥めて、その場を後にした。

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