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第10話

 その告白を聞いた伊織は『大変だったな。話してくれてありがとう』と、彼に気遣いの言葉をかけた。 『……こんな話するの、伊織が初めてだ。伊織は……と、友達だから』  秋も深まった十一月。自室に招いた彼は俯いてそう言ったあと、恥ずかしいのか? 白い肌を耳まで真っ赤に染め上げた。頼りなさげなその姿に、冷めかけていた伊織の心は再び熱を取り戻す。  彼について調査会社に調べさせたのはそれからだ。  そして、その結果を手にしたのが数日前。 冬休みに入る直前のことだった。  「このままじゃまともに彼女も作れないから、手伝っえって言ったの航太だよな」 「……でもっ、こんなこと頼んでねえっ!」  タイルの上で足掻く航太の背中を踏みつけて押さえながら、自分の体をシャワーで流し、伊織はいったんバスルームをあとにした。  ハーフパンツと半袖Tシャツを身に纏い、ゆっくりと髪を乾かしてから再び中へと入っていくと、うずくまっている航太の体はカタカタと細かく震えていた。 「縛って触れって言ったの航太じゃん。俺は言うことを聞いてるだけ」 「こんなっ、こんな意味じゃねーよ! っくしょー、てめえ、マジでぶっ殺すからなっ! ぜってー許さねえ!」  テンプレートの脅し文句も、ガチガチと鳴る歯音のせいで台無しだ。けれど、ここまで来ても気丈に吠える航太の姿は伊織の背筋をゾクリとさせた。 「はいはい、わかったから、ちょっと黙ってくれないかな」  わざと冷たい声音で告げ、シャワーヘッドを外したホースを掴んで航太の背後へと回る。なにをされるか分かったのか? 一瞬にして蒼白になる表情を見て胸が高鳴った。

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