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第11話

 ***  義理の父から性的悪戯を受け始めたのは、母の再婚から二年がくらいが過ぎた頃。航太が小学五年生へとあがったばかりの時期だった。母子家庭で育った航太は、仕事ばかりで不在がちだった母親と、過ごせる時間が増えたことが嬉しかったのを覚えている。  そして、新しい父は航太をかわいがり、遊び相手になってくれたり。自身が長年やっていたという空手を教えてくれたりした。  一緒に風呂へ入った時、まだ精通も迎えていない航太のペニスに触れてきたときは、何をされているのかを理解できぬほど驚いた。  行為は徐々にエスカレートしたが、航太は母に言えなかった。それを言えば大好きな母は航太を嫌うと思ったから。そして何より義父から堅く口止めをされていたから。  それ以外は完璧な父親だった。忙しい仕事の合間に学校行事にも積極的に顔を出し、母のことをねぎらうために定期的に旅行にも連れて行ってくれた。  その関係が破綻したのは航太が中学二年生のとき、母の不在時を狙った義父は、触れるだけではあきたらず、自身のペニスを航太のアナルに挿入しようとしてきたのだ。 「家庭内暴力の末、持て余した両親から一人暮らしをさせられてるって教師の資料には書いてあったけど、本当は違うよな」 「……るせぇ」  バスルームからベッドの上へ運ばれた航太は低く呻くが、その声は当初とは違いあまりに弱々しいものだ。  三回。ホースから湯をアナルに注がれ、腹の中を洗浄された。逃げようとすれば臀部を何度も叩かれたから、最後には痛みに負け、不本意にも服従するしかできなかった。 「泣かせるね。お母さんには知られたくないし、小児性愛の性癖を持った義理のお父さんは、殴られたことで航太の成長にようやく気付いて性的な興味を失った。で、航太のなかにはトラウマだけが――」 「……るせえって言ってんだよ。このキチガイ野郎……どーでもいいことほざいてねーで、ヤリテーんならさっさとヤれよ」  我ながら、情けないほど震える声音に自分で自分を殴りたくなるが、少しでも早くこんな時間は終わりにして、伊織をボコボコにしてやりたい。

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